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コラム 『ビジネス未来』
バックナンバー ③  2021/4/6 ~ 2021/6/29

タイトル

#037 2021/6/29  嚥下調整調理家電の企画・製造・販売

#036 2021/6/22  コンサート会場の感染防止策の今

#035 2021/6/15  若手社員の早期離職の防止から考えるマネージメント

#034 2021/6/8    日本のGDPの回復が諸外国より遅い?

#033 2021/6/1    メーカー、製品で快適性向上、宇宙生活に日用品の知恵

#032 2021/5/25  “プロセス”と“運用”の狭間で

#031 2021/5/18  晒(さらし)製品の製造販売

#030 2021/5/11  経営者が考える「オフィスの役割」について

#029 2021/4/27  日本の漁業と製造業の今後について
#028 2021/4/20  もう始まる?台風シーズン 水温高く上昇気流活発に

#027 2021/4/13  マイタケ生産国内トップ

#026 2021/4/6    後悔しないように生活しよう ~“コロナの第4波”で始まった新年度~

#037  2021/6/29
嚥下調整調理家電の企画・製造・販売
やわらかな食事で尊厳守る(日経ビジネスNo2097)を読んで ~

調理家電としてギフモ株式会社の「デリソフター」が4年間の企画から生産準備を経て発売になり、500台を超える販売となりました。これは嚥下調整調理家電という新分野です。ステーキ、カレイの煮付け、ふろふき大根が、見た目はそのままに歯茎でも潰れるくらいに柔らかくなります。これまでは食べることに問題を抱えると、ペースト状に加工して、もしくは流動食で食べてもらうことが一般的でした。流動食を作るには大変な時間がかかりますし、これを市販のものにするにしても一日1,000円以上かかり、費用負担は大変な額となります。デリソフターがあれば、柔らかいステーキが30分程度の追加調理で可能となり、介護する家族の負担軽減に繋がっています。それにこの商品は介護現場の食の概念を大きく変える可能性があります。なんと言っても人間にとって、「食べたいものを食べる」というのは、人間の尊厳につながる内容だからです。そのためには、見た目が同じというのは重要なポイントです。

ギフモ社はパナソニックの新規事業創出プロジェクト「ゲームチェンジャー・カタパルト」がきっかけとなっています。父親の嚥下障害に悩んでいたメンバーが発端となってサークルを立ち上げました。しかしパナソニック社内で少量から始める事業化企画は難関でした。そこにパナソニック、米スクラムベンチャーズ、I N C J(旧・産業革新機構)が共同出資した「BeeEdge」が支援し19年4月に会社設立に漕ぎ着けました。しかし、少量生産でしかも販売価格は税込47,300円とハードルが高く、既存部品の金型流用でなんとか実現しています。20年7月に発表するや否や100台を完売しました。

【写真】出典:ギフモ社のHP

・・・・・・・・・・・・・・・
大企業が新規事業を成功させるためのポイント

  ・スモールスタートを前提に、それができる投資環境・社外の事業環境を整備する
  ・身近で困っていても、今までは諦めていたことを具体的に絞り込んで課題とする
  ・矛盾点、例えば、量とコスト、食べやすいさと形を崩さない、等を絞り込んで認識する

新規事業育成は、大企業に限らず常にチャレンジしています。その一方で規模が見込めないことや全く新しい市場で成功が予測できないことを背景に成立しないケースも多いようです。それでもニーズがあるのだからとプロジェクトを前に進めるためには、この上記3点を意識する必要がありそうです

今後の展開

「心を豊かにする提案」を今後とも続けてゆく、そのためにも、このプロジェクトでしっかり認知度をあげて行きたいとのことです。

・・・・・・・・・・・・・・・

ぜひ、自社の業態や製品・サービスに置き換えて考えてみていただければと思います。

(東出)

#036  2021/6/22
コンサート会場の感染防止策の今

東京文化会館(2019年6月)


3度目の緊急事態宣言が続いていましたが、沖縄以外の都道府県は昨日から“まん延防止等重点措置”に移行したこの週末でした。幾分の緩和政策が含まれてはいるものの、活動範囲が大変限定され、また感染者数も下げ止まり、市中に出る人々の数の増加傾向もあり、氷を踏むような慎重な運営が続いています。
その結果、これまで散々痛めつけられてきた「第三次産業」の従事者、すなわち小売業やサービス業に従事している方々の苦難は続いています。

やはり飲食店のような身近な店舗には関心や目が向くのですが、同じ産業分類になる音楽や芸術で生業を立てていらっしゃる方々の大変さはなかなか実感しにくいところです。音楽界はなんとか生計の基盤を確保すべく、地道に感染防止に細心の注意を払いながら、日常に近づける努力をしています。

緊急事態宣言の期間中の6月中旬に都内で開催されたコンサートに参加してみました。“不要不急”という声は承知していますが、音楽・芸術関係者の生活の一助でもありますので、十分な感染防止対策を行なって訪ねてきました。今日は、その時の印象をお話ししてみたいと思います。

■実際に行なわれていた施策

訪ねたのは上野にある東京文化会館。東京都が運営する公共施設です。土曜日の開催で街にも人出が予想され、また県境を越えた移動になるので、感染リスクを減らすべく、車利用で上野公園の駐車場までピンポイントで移動しました。今回のホールは、クラシックなら少人数のアンサンブルやカルテッドが演奏する、いわゆる小ホールです。チケットを購入した時点はまだ3回目の緊急事態宣言に入った頃。期限延長があればキャンセルもあり得るという微妙なタイミングでした。その為、チケット購入時より「感染防止対策へのご協力のお願い」というインフォメーションが繰り返し届けられ、「当日のお作法」まで事細かに案内されていました。

事前案内では、①ホールの入場前に手指消毒・検温の実施、②入場券の切り取りは自分で行ない、半券を袋に入れる、③配布物はテーブルに置いてあるものを各自で取得、④ホール内の飲食禁止、⑤ホールの内外を問わずに会話を慎む、といった具合です。これだけの対応をする為に開場から開演までの時間は15分多めに計画されていました。

では、実態はというと・・・・・・
開場前に既に行列が出来ました。密ではないですが、1.5m間隔にはなっておらず詰まってはいました。①手指消毒&検温は100%実施されていて、ホールに入場時の②チケット半券の切り取りは、ホールスタッフがいつものように行なう形でした。手間取って入口で密になるのを避ける為だったのでしょう。③配布物は各自で取得、④飲食禁止と⑤会話は慎むという項目は、観客側がしっかりと守っていました。もちろん公共施設ですから、床にはそこかしこに“Keep distance”のマークが貼られていて意識されていました。

■現場の雰囲気

今回のコンサートは完売だった為、“1席飛ばし”ではなく、通常の着席でした。実はここが一番不安なところだったのですが、400人近くが誰も話すことなく、声がするのはホールスタッフが呼びかける「マスク着用徹底のお願い」のみという、大変静かな開演前でした。コンサートの最中は、思わぬハプニングもあって笑い声が出てしまう瞬間はありましたが、“拍手で応援”も徹底されていて、これもまた観客の皆さんの徹底ぶりが素晴らしかった。私の両隣りも最初から退場まで全く声を出すことなく聴いていたので、次第に緊張も取れました。

こうしてコンサート自体を振り返ると、過敏にならない程度に、主催側・観客側が双方努力しつつ歩み寄るような形で、円滑に・安全に・これまでの日常に近い形で過ごせるようになっていた印象がありました。やはりこの1年半も出来なかったイベントなので、主催者側の努力に加え、皆さんがその“価値”に改めて気づかされたからこその「積極的な協力」だったように感じました。

終演時には、ホール案内で「東京都-新型コロナパーソナルサポート」というサービスへの登録も呼びかけられ、『このコンサートで感染クラスタが発生した際には連絡が入る』という説明だったので登録してみました。

■その後のケア

ホールに入る為の水際対策が徹底されているとわかっていても、着席状態は至近距離となる為、やはりリスクがあることには現状は変わりません。終了後のケアには自治体が力を入れていました。この東京都の「新型コロナパーソナルサポート」はよくケアをしてくれていると思います。LINEを利用して毎日の東京都の発表内容を速報してくれるほか、体調の変化がないか定期的にヒアリングに来ます。幸い、私は何の症状も出ていないのですが、まだ“リスクを得た日”から短いからか『厚生労働省が配慮を呼び掛けているリスク』を持っていると、慎重な生活を促すメッセージを送ってくれます。何日経てば“リスク解除”になるのか、今しばらくは体調ヒアリングが届くと思うので、サービス内容を注意してみていきたいと思います。

私の住む川崎市では、今週は60代、来週~7月初めに50代へワクチン接種券が送付されるそうです。旅行や出張など出掛けることがある人は、やはり打った方が良いそうです。お盆休みくらいをメドに2回目が終わるようにして、9月からは西日本や九州にも出掛けられるようにしたいです。もちろん、こういった楽しいイベントにも!

(鯨井

#035  2021/6/15
若手社員の早期離職の防止から考えるマネージメント
~ コロナ禍のリモートワーク下で重要性を増す“上司に求められるスキル” ~


 筆者が前回担当したコラム(#30 2021/5/11)で、コロナ禍の中で経営者が求める「オフィスの役割」について載せました。そのコラムの中で気になっていたのが、リモートワークでは以下の点からマネージメント側の危機意識が高い、と言う点でした。具体的には
◆長期化によるカルチャーの希薄化やエンゲージメントの低下
◆それらに起因する離職の恐れ
という2点です。

 実は、私も4月から契約社員としてリモートワークを始めました。(コンサルタント業とのダブルワークです。)長い会社勤め生活を通して初めてのリモートワークであり、その働き方について考えていたところ、共感出来て「離職の恐れ」の解消に役立つマネージメントの向上に参考となる記事を思い出しました。それが「実例から見る『若手が辞めるワケ』。テレワーク下でアップデートするべきは上司」(BizHint編集部 2020年10月23日)*1 という記事です。

今日は、その記事の内容を引用しながら「マネージメント」について考えてみます。
この記事では、早期離職を経て転職した6人に行ったインタビューを基に、以下の要因とその対策を提案しています。

【出典】
 *1; BizHint編集部が公開した株式会社カイラボ 井上代表取締役に行ったインタビュー記事。

===============

■離職するのは、それなりの理由がある;新入社員が離職に至るまでの一般的なプロセス

 ・離職はいきなり決意されるのではなく、そこに至るまでには以下の一連のプロセスがあります。
   就職活動 → 内定 → 入社・研修 → 配属・実務 → モヤモヤ期 → 退職準備 → 退職
 ・
その中で、”辞めようかな”と思わせるモヤモヤ期への「きっかけ」と、”辞めよう”と退職を決意する
  
「決め手」があり、それぞれが何かを把握し、対策することが重要 。

■早期離職対策として、「採用の改善」「育成力の向上」「組織の仕組みづくり」が必要

 6人の実例から、早期離職の「きっかけ」にも「決め手」にもなる要因とその対策として、以下の3つの戦力と9つの戦術から早期離職の対策が提案されています。

 【離職対策】 3つの戦略と9つの戦術
  (1)採用の改善
     ①ターゲットとメッセージの見直し
     ②RJP(情報開示と具体的なジョブマッチ)
     ③SNSや動画活用
  (2)育成力向上
     ④育成担当者(OJT・管理職)の育成
     ⑤メンターの育成
     ⑥先輩力の向上
  (3)組織の仕組みづくり
     ⑦スクラム採用・育成
     ⑧人材育成マニュアルの整備と更新
     ⑨成長支援型日報(多面的フィードバック)

===============

■早期離職の「三大要因」;「存在承認」「貢献実感」「成長予感」から対策を考えよう

 これらの要因は以下のように解釈され、それらの対策のどれか一つでも不十分な場合は、離職の「きっかけ」にも「決め手」にもなり得る、非常に重要な要因だと言うことがわかります。

 ●存在承認とは; 会社・職場で自分の存在が認められているか
 ●貢献実感とは; 社会・顧客・職場などで貢献できていると本人が感じているか
 ●成長予感とは; 今の仕事を続けることが将来なりたい自分になれる予感があるか

 これらの要因の中でも「存在承認」は、その職場で働き続けるのに非常に重要な要因だと考えます。特に、リモートワーク下でお互いが見えない場合は、上司は新入社員に「忘れていないよ」と言うことを伝え続けることの必要性に、この4月からの短いリモートワーク経験の私でも、強く共感しました。更に、これらの要因は、新卒者の早期離職防止に役立つだけでなく、中堅層、ベテラン層に関係なくその職場で働き続け、成果を出し続け、成長していくためには、非常に重要な要因だと考えます。

■今変わるべき、アップデートするべきは上司;それが早期離職の対策

 この記事では、コロナ禍・テレワークによって働き方が変わった今、社員のモチベーションを上げるために必要なものは、監視ではなく、社員が気持ち良く働くための環境整備、仕事に迷いが出ないようにする明確な指針を示すことが、これからの上司の役割で、アップデートすべきは上司です、と、コロナ禍・リモートワーク下での早期離職の対策として挙げています。私も同感ではありますが、部下の方も同時にアップデートして初めて「対策」になるのではないでしょうか。コロナ禍で働き方もリモートにより変わっていく中でも、人間関係は変わらず、一方通行でなく、上司と部下の感情情報(絵文字・顔文字・スタンプ等)も伝わる相互のコミュニケーションが頻繁に求められていると考えます。

 本日のコラムでは、リモートワーク下での離職防止対策は、上司のアップデート=上司のマネージメントスキルの向上が必要であるだけでなく、部下のスキル向上とセットであることが必要ではないか、と記事を引用しながら、自身の経験も踏まえた提案をさせて頂きました。また、新卒の早期離職防止対策の記事とのことでしたが、個人的にはより汎用性がある対策であると考えていますが、皆さんは如何でしょうか。

 永遠のテーマであるマネージメントの改善は、いくら環境が変わっても、最後は「人と人との関係」であり、誤解なきようコミュニケーションを頻繁に取るということは“普遍のルール”のように思います。

(K)

#034  2021/6/8
日本のGDPの回復が諸外国より遅い?


日本のGDPの落ち込みが諸外国に比較して大きいということですでは、どの程度かというと、以下のような概要です。

【日本と諸外国のGDP比較】
 1. 20211月~3月期の実質GDP速報値が、日本は前期比
   1.3%減 アメリカは1.6%増、EU0.6%減、韓国は
   
1.6%

 2. 2020年度の実質GDPは、日本(前年度比4.6%減)と同様、米国(3.5%減)も落ち込んでいる。
 (引用元:内閣府調査及びJETROHPより)

日本のGDPの回復が諸外国に比べ弱いのは、ワクチン接種の遅れなどではないという事を述べています。ダイヤモンドオンラインの「案の定のGDP減より」(2021520日)を引用し要約してみます。

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【1.実質的失業者】

野村総合研究所は、パート・アルバイトの中で「コロナ以前と比較してシフトが5割以上減少」且つ「休業手当を受けてっていない人」を実質的失業者と定義している。その調査結果によれば、昨年12月時点 女性90万人、今年2月時点 女性103万人 男性43万人。実質的失業者は、女性で10万人増加 男性は不明。

2.自殺者数】

2020年(暦年)の全国の自殺者数は21,081人。警察庁のHPによると前年比912人増加(4.5%増)している。リーマンショック時にも自殺者が増加していることからコロナ禍により自殺者が増加していると推察できる

3.日本の新型コロナやその他の疾病による死亡者数】

1.   新型コロナの死亡者数は4月時点で約11,000人。そのうち9割は70歳以上の方。
2.   その他の疾病では、インフルエンザの年間死者数は3,325人(2018年)。超過死亡者数は約1
  人。老衰の死亡者数は年間約10万人。肺炎の死亡者数は年間約10万人。誤嚥性肺炎の年間死亡
  者数は約4万人。
(厚労省調査による。)

 〔参考〕厚生労働省発表の2019年の主な死因別死亡者数
     
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/provision/images/fig_provision_3_01.gif

4.新型コロナに関する報道】

1.新型コロナによる死者が約11,000人とは大変な数だが、毎年老衰や肺炎で亡くなる方が約15万人
  いることをそれほど問題視していなかったのに、なぜコロナ患者や死亡者の数になるとマスコミ
  は恐怖を煽るのか、正直違和感しかない。

2.報道により「コロナで失われた命」を特別視することで、「コロナ患者以外の人々」の命を軽ん
  じていることに繋がっていないか?

5.経済活動再開の後押しを】

1.実質的失業者が今年に入って増加傾向にあることから、「コロナ経済死」の対策をすべき。
  労働者に直接届くような公的支援は勿論、賃金引上げをした事業者には減税するなどのインセン
  ティブをつける
等の実効性のある賃上げ施策が必要だろう。

2.   それ以上に「人流抑制」「自粛」ではなく、しっかりとした感染対策をしている分野にはどんど
  ん経済活動再開の後押しをしていくことだ。

3.政府には是非とも「他の病気で失われる命」や「経済的な理由で失われる命」にも光が当たるよ
  う
広い視野を持ったコロナ対策を期待したい。

======================
このようにまとめられるかと思います。
 細かな部分では意見が異なる部分もありますが、私は大筋でこの記事の筆者の意見に賛成です。「新型コロナ」の感染者数と重症化率に特化したような報道を延々一年以上も続けている、その姿勢には実際に疑問を感じます。読者を新型コロナで煽り集団パニックに陥らせるような報道の仕方をした結果として、多くの人が冷静な判断が出来なくなっているように思います。加えて、新型コロナの感染対策の専門家である医師にしか意見を求めなければ、「人流抑制」「自粛」しか対策は出てこないでしょう。 

ここで興味深い数値があります。兵庫県の感染経路調査結果です。感染経路別患者数のパーセンテージを見ても、家庭で感染した事例が52.1%、職場16.2%、福祉施設7.5%などであるのに対して、飲食店は最下位のわずか2.9%です。

(引用元:兵庫県HP)
 
https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/documents/g_kaiken20210409_02_1.pdf

(引用元:旭酒造の意見広告)
 
 https://www.asahishuzo.ne.jp/news/info/004899.html

これが事実ならば飲食店に対する営業時間短縮要請やアルコール類提供停止など感染源の2.9%を狙い撃ちしたような対策は的を射ていないと思います。むしろ飲食店への「イジメ」にも映ります。感染源データなど色々なデータに基づいた対策が必要だと思います。豊富なデータを政府はお持ちでしょう。また、報道機関の取材力ならば感染源など様々なデータを入手して報道できると思います。

もしくは、「誤解を恐れずに言うと、例えば新型コロナの被害は多少あっても経済を回すよう対策を検討するなど、豊富なデータに基づけば感染症対策と経済が両立するような政策が出てくるように思います。医師だけでなく複数の分野の専門家が対策を立案するような方策も必要であると感じます。

こうやってなんとなく時間を費やしている内にワクチン接種が行き渡り国内の新型コロナが沈静化するのを待っている訳ではないと信じたい。

(U)

#033  2021/6/1

メーカー、製品で快適性向上、宇宙生活に日用品の知恵

宇宙でも使える化粧品を両社で2023年に商品化へ

 宇宙関連ビジネスの話題が増えてきています。先だっても、「衣料通販サイト『ゾゾタウン』を運営するZOZO(ゾゾ)創業者の前澤友作氏が、今年12月にロシア宇宙船ソユーズに搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)を訪れる」との発表を耳にした方も多いのではないでしょうか。実現すれば、宇宙飛行士以外の日本人による初の「宇宙旅行」となります。いよいよ、宇宙旅行も現実味を帯びてきています。(資格を持つ宇宙飛行士以外の人による世界初の「宇宙旅行」は、2001年4月、米国人実業家のデニス・チトー氏が、ロシア・ソユーズ宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、約1週間滞在しています。)

一方、「宇宙旅行」と言う華やかな分野とは異なる、「日用品」という身近な分野での話題もあります。新聞記事から紹介します。

=========================
 日用品などのメーカーが「宇宙で使える製品」の開発に乗り出している。国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士の快適性を高めることが主な狙いだ。宇宙旅行が将来実現すれば、それまでに蓄積してきた技術も生きる。地球とは前提条件が違う「宇宙起点」の発想で、常識や前例にとらわれない商品開発を目指す側面もある。

(中略)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2020年夏に、宇宙生活を快適に過ごすためのアイデアを広く募った。宇宙飛行士への聞き取りから「生活が単調」「水の使用が限られる」といった課題をまとめて公表し、解決につながるアイデアを企業に求めた。

 94件の応募があり、無重力でも身体を固定しやすいワコールの「宇宙用靴下」や花王の「水なし洗髪シート」など10件のアイデアを採択した。今後開発を進め、安全性などを判断したうえで、22年のISS搭載を目指す。

 プロジェクトを統括するJAXAの菊池優太氏は「宇宙を目指して開発したものは地上でも役立つ」と話す。水の使用が制限されるISSでは、水を使わずに体の汚れを落とす必要がある。この発想を地上生活に「逆輸入」すれば、水不足という課題を解決する糸口になりうる。  〔出典 2021/5/28  日経産業新聞〕
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 この他、当該記事においては、「宇宙起点で考えることで、常識にとらわれなくなる」(ワコール今井浩執行役員)との記述もあります。宇宙旅行の現実味は徐々に増していますが、日用品の世界でも、宇宙空間という過酷な環境を想定した上で、消費者の生活を改善する全く新しい商品の誕生も期待されています。

ところで、モルガン・スタンレーが公表した市場予測によると、2040年の宇宙ビジネス全体の市場規模は、2018年の37兆円から約3倍の100兆円規模になると報告しています。では、日本の展望はどうでしょうか。宇宙産業ビジョン20302017529日宇宙政策委員会)によると、「民間の役割拡大を通じ、宇宙利用産業も含めた宇宙産業全体の市場規模(現在1.2兆円)の2030年代早期倍増を目指す」との記述にある通り、世界から大きく差をつけられている状況です。しかし、日本の宇宙ベンチャー企業数は、2020年に累計50社に達し、着実に増えてきているとのことです。

宇宙ビジネスにおけるキーワードをピックアップしてみると、

 1.日常接している世界から離れた“発想の転換”
 2.新ビジネスゆえに、スピードと業種/企業の大小を超えたダイナミックな連携

そして、何といっても

 3.夢の世界であった宇宙で、何かを成し遂げたいと言う想い

ではないでしょうか。

 みなさん、宇宙という夢のある分野で、世界との差を埋めていきたいと思いませんか。
そこには、今までの技術やビジネス基盤、ビジネス経験を活かせる分野もあります。
ぜひ、ご自身の事業を活かせる新しいビジネスチャンスを考えてみませんか。

(H

#032  2021/5/25
“プロセス”と“運用”の狭間で

画像の説明を入力してください


3度目の緊急事態宣言も収束の時がまだ見えません。このコラムでも時折コロナの話題に触れていますが、最近も気になる動向があったので、今日はそのことについて少しお話をします。

気になったのは、「ワクチンが余った時への対応」です。

■“臨機応変”が「批判」の的に

日本ではワクチン入手が遅くなったせいで、海外での接種状況が投与初期の段階から報道されていました。TVニュースでも、「アメリカでは、高齢者施設に接種を行った際に余ってしまった分を、貴重なワクチンの廃棄を回避するため、医療者がたまたま近所に居合わせた未接種の住民に声掛けして有効活用した」といった感じのトピックスを流すなど、「臨機応変の対応ですばらしい」と好意的に報道していました。

しかし、どうでしょう。いざ、日本でワクチン接種が始まると、「“対象者のみ”とルール通りにしたから、結果的に余ったものは廃棄した」とわかれば、「無駄に捨てた。もったいない」と批判的な報道で叩き、その一方で、予約者のキャンセルで余ってしまったものを臨機応変で接種期間外の人に有効活用したら「ずるい」といわんばかりの批判的な報道も流れていました。結果的に、どちらも批判するような格好になりました。

この報道。正直なところ、メディア自身もどう伝えるか悩みながら流したように思えてなりません。“現場”が重要な業界ですから、臨機応変の対応を「ずるい」と言い切れなかったからかもしれません。

そこで、話題にされたのが「プロセス」でした。 

■現場感覚? それとも、仕組み重視?

個人的見解を含みますが、この状況を考察すると以下の3点が特徴として現れていたように思います。

 ●プロセス・手続を重視する国民性(国会運営が良い例)。しかし、プロセスづくりは上手くない。
 ●状況が一番見えるのは「現場」(当事者)。プロセスで想定した通りに全てはならない。
 ●全てを定型化・文書化するだけの意味や頻度がない為、結果的に乱暴な仕組みになっている。

これを少し俯瞰してみると、「“運用”への依存」と見ることも出来そうです。ここでは、その依存が悪いと言っているのではありません。

裏打ちするような出来事として起こったのが、「大規模接種の予約システムのトラブル」と思います。多額の税金を投入して“ITシステム”を作ってリリースしたものの、早々にトラブルが発覚。IT企業はプログラムの単体試験やシステムの結合試験を本当にやったのか?と思うレベルで、公開リリース後に利用者側が“いじわる試験”を行なっているが如くの状態でした。画面上に『ここからアカウントIDを作成して、その後にサインインしてください』みたいな表示が出るものもあると伝えられていますが、高齢者が自分で操作する時に理解できる表現とは思えず、全くユーザーフレンドリーではないですね。

の動きには、“ITに対する過信”があったように思います。発注側も受注側も「使う人」をしっかりイメージ出来ていたのでしょうか。「“ITシステム”は人間による“運用”の一部を電子化したもの」という根本が念頭から抜け落ちていなかったでしょうか。運用をきちんと検証してからシステム化を図ったでしょうか。大変気になるポイントです。

私は、このような緊急かつ迅速な対応が求められているような場合においては、「現場の肌感覚で行なうことが尊重されても良いのではないか?」と思っています。 つまり、「運用方法」を充実させるということです。先の報道もあり、各地で“余ったワクチン”をどう使うかを「ルール化」していますが、このルールに不公平感を持つ人がいないかといえば、それもまた否定しがたいでしょう。

■「運用」をしっかり想定。それから「システム」を作る。

もちろん明確なプロセスと明文化は重要です。しかし、瞬間々々で即座の判断が求められるところは残ります。それはプロセスのどの段階でも起こり得ます。ましてや医療のように“100人いれば100違う”ということが前提の現場なら尚更です。その判断こそが「現場力」を養う機会でもあり、組織の体力を作っていくものでもあると私は考えています。どんなに綿密な組織・プロセスを作っても、その「接点」を強化しないと、前述のような機能不全を起こす“システム”は簡単に出来上がってしまいます。

それゆえ、まず全体を俯瞰して「目的」を満足する「運用」を想定し、そこから「システム化」を図り、ツール準備を通して「運用」を修正・玉成していく。こうして血の通ったものに整えていくということを、基本を重視した取組みを、この事例を通して改めて意識して頂きたいと思っています。

最近、若者に80年代の大ヒット商品の『写ルンです』(レンズ付きフィルム)が売れているそうです。
使う理由を尋ねられた彼らが「写真を撮るところから現像されてくるまでの“全体のプロセス”が楽しい」と答えているのを聴き、変化が生まれてきているのを感じました。デジタルでもアナログでもなく、「プロセスそのものを楽しむ」という“俯瞰して物事を捉える”傾向が強くなっているようです。それは「画像を撮る道具をどのように使うのか?」という使い方への関心の移行でもあり、道具としてのITツールへの関心が一定の役割を終えたのかもしれません。

こんな若者の中からいよいよ欧米のような世界を動かす「プロセス」や「サービス」を産み出す人財が出てくるのかもしれませんね。期待したいと思います。

(鯨井)

#031  2021/5/18
晒(さらし)製品の製造販売
~常識に逆らった素材で勝負(日経ビジネスNo2090)を読んで~

(画像から企業HPへ飛びます)

大阪・堺で110年の武田晒工場。シャープの電子回路設計エンジニアが家業を継承して発展させました。

職人気質のベテランと共にまず取り組んだのは、すべて手作業でアナログな現場の改善でした。コンピュータで全自動化を試みますが、300年近く続く伝統的な手法は、どうしてこうなっているのかは、ベテランでもわからず江戸時代の文献に当たって調べるところから始まりました。また、硫酸や次亜塩素酸ソーダというような強い薬剤を使う工程もあり、排水をなんとかしなくてはならないという課題にも直面していました。そして試行錯誤すること2年の末に「Eco晒」が完成します。薬剤は60%削減、使用水量も半減させることができました。完璧に白ではなく、ややベージュの色合いですが染色上の問題はありませんでした。取引先からも環境に優しいことが評価され、売上の2割を占めるまでになりました。

しかし、需要の減少や廉価な中国製に押されて工場の廃業が続き、元々40軒ほどあった晒工場も今や7軒しか残っていません。

次のチャレンンジは、自社製品開発と発注元の買収です。自社製品開発で新たなニーズと販路を開拓する一方、元々の発注元の廃業を防ぐ意味での買収でした。これにより「天使のころも」ブランドで乳児肌着に参入し、自社ブランドを作ることを学びました。

そして、2020年2月「和晒ロール、さささ」、ミシン目のついた晒製のキッチンペーパーのような布を発売しました。これはコロナ禍でステイホームが広がる中で、家事や料理をする機会が増えた方々に評判となりました。これらの結果、1996年の社長就任時1億5千万円だった売上が、2020年には5億5千万円にまで伸長しました。

(引用元:株式会社武⽥晒⼯場 HP)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
伝統産業が時代に合わせて発展するためのポイントをまとめました

● I Tを使った、ノウハウのデジタル化と工程の効率向上
● SDGsEco視点での商品開発や工程開発
● 
産業としての川下展開・統合、川上展開・統合

日本酒業界、醸造業界では、いち早くこれらの取り組みを始めています。伝統という名前がつかなくても全ての産業が例外なく、これらの視点は不可欠ではないでしょうか。

今後の展開

創業110年を迎えた老舗企業としての事業継承と新しいチャレンジの継続。
やはりコアとしての伝統への思いを持ちながらチャレンジは継続する、という体質作りや人作りが不可欠なようです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ぜひ、自社の業態や製品・サービスに置き換えて考えてみていただければと思います。

(東出)

#030  2021/5/11

様々な経営者が考える「オフィスの役割」について

~「コロナ禍で露わになった、経営者がオフィスに求めていたもの」を読んで~

 

 3回目の緊急事態宣言が延長された現在、コロナ感染防止の観点と昨年からの実績で“在宅勤務”が主流になっています。(勿論、業態に拠りますが。)

そんな中、『オフィスの役割』について参考になる記事が目に留まりました。BizHint編集部が2021315()に掲載・公開したレポート、そのインタビュー記事を今回紹介します。

 

BizHint編集部が株式会社ヴィス(https://vis-produce.com/sp/)のCOO:金谷さんに行なったインタビュー記事を要約してみます。

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コロナ禍のオフィス市場に見られる2つの変化、オフィス離れとオフィス回帰

 ・昨年4月の緊急事態宣言時には『オフィス不要論』に象徴される全面解約の動き。「固定費削減」
  「会社存続」「利益確保」を目的に。
 
・8月には「オフィスを維持しながら中身を改装する」という『オフィス回帰』へ変化。次世代の
  オフィスのあり方を模索するという志向へ。
 
・今年初めには、自社の将来を見越して百社百様の動きに。その検討は、ビジネス形態や採用形態、
  会社の成長ステージ、社員の
ITリテラシーなどにより違い。

 ■在宅ワークへの適応で、オフィスには「選択肢」と「心地よさ」を

 ・働き方改革とオフィス改革を同時に実現した上場企業のオフィス改善事例を紹介。
 ・心地良さを追求。自宅でのテレワークと同じようにリラックスして仕事ができる。
 ・「自宅の方が効率のよい仕事」の気づきで、オフィスには自宅にない仕様や設備を設けて差別化。
 ・
オフィスには、対面でこそ生まれる議論や雑談、人と人のコミュニケーションが取れる「センター
  機能」を持たせる。
 
・他者との関わりで「より創造的な仕事ができる」と実感できるコンセプトを持たせた。
 
ABWActivity Based Working:時間と場所を自由に選択できる働き方) という考え方に基づき、
  「その人にとって働きやすいオフィスとは?」を追求している。

会社を強くする「カルチャー」の醸成。経営者が何よりオフィスに求めるもの

 ・コロナ禍やリモートワーク化において、経営者の問題意識を強く感じたのは“会社のカルチャー”の
  部分。「カルチャーを最も感じる場所こそがオフィス」であり、オフィスを「ビジョンを体感して
  カルチャーを育む場所」と捉えている点。
 
・リモートワークは、従業員側は生産性が上がったと感じ、マネジメント側は厳しいと感じている。 
 
・マネジメント側の「厳しい」という意識は、長期化によるカルチャーの希薄化やエンゲージメント
  の低下、離職にもつながりかねないところから。これは「オフィスで働く」という大きな意味が
  失われるということ。
 
・今後のオフィスデザインは、“作業場所”ではなく、“人と人が交わってイノベーションを作る場所”が
  主流に。
 
・オフィスも、いわゆる“ニューノーマル”な時代は、「常にチャレンジし変化し続ける」必要がある。
 
・既にこの変化へ取組みが進む。名古屋のベンチャー企業が“アジャイル”を観点にオフィスを創った。
  あえて完成度を下げ、企業の成長と時流を見ながら余白を埋めていくというコンセプトを採用。
 
・今後は「完成を求めない」、「正解を決めにいかない」 ことが大切。
 
ICT環境の構築、ルールやマネジメント体制の整備など、テレワークを組み入れつつ、新しい働き方
  をマネジメントする』という運用づくりも重要。

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主なポイントは、こういったところになるかと思います。

いかがでしょうか?
大変参考になる考え方が表明されていると思います。With Corona, After Coronaを考えて、みなさんも自社の業態に合わせた「オフィスの役割」を検討されてはどうでしょうか。

このインタビュー記事には企業での取組み事例も具体的に紹介されています。
詳細を読んでみたいと思った方は、以下のリンクから入ってみてくださいね。

https://bizhint.jp/report/493470
【出典・引用】
 BizHint 編集部 2021年3月15日(月)掲載 連載:第18回 コロナ危機と闘う
 「コロナ禍で露わになった、経営者がオフィスに求めていたもの」

(K)

#029  2021/4/27
日本の漁業と製造業の今後について


 我が国ではほとんどの種類の魚の漁獲量が、自然のサイクルや環境の変化といった要素だけでなく、資源管理ができていないことにより減ってしまいました。それを国内では魚が減少した原因を地球温暖化や環境変動のせいだと思っています。しかし、世界の漁獲量が減っている訳ではありません。米国やニュージーランド、ノルウェーなどでは、資源管理が出来ているために水産資源の9割くらいは良好な状態を維持できています。日本だけが地球温暖化で魚が減るなんてことはありません。例えば、うなぎは90年代後半くらいまではスーパーでレトルトパックが安く売られていました。これらは、ヨーロッパウナギの稚魚を買い付けて育てた中国産の養殖うなぎでした。安いからと日本で食べすぎた結果、ヨーロッパウナギは資源が枯渇し、2008年に絶滅危惧種に指定されました。そういう持続可能性を無視した"乱消費"によって、未来のうなぎを食べつくしてしまった状況と言えるでしょう。実際の漁獲量データや将来予測として次のようなデータがあります。

〔出典:勝川 俊雄 氏 著:「水産資源管理が左右する日本漁業の未来」

 うなぎの例にあるように、当時何も考えずに「安い、安い」と食べていた人たちは、未来の世代のうなぎを奪って安く食べていたという見方もできるわけです。
持続可能な漁業にするためには、適切な資源管理やコストがかかります。現時点では、それを無視して「安ければ何でもいい」と、たくさん獲る漁師が“勝ち”になっています。同様に、先のことを考えずに「今の自分がよければそれでいい。安ければ良い」という消費の仕方は、現在の自分にとっては利益になりますが、未来の世代に迷惑がかかります。このように、漁業の現場と消費の現場で起きていることは実は似ています。

 この“安ければ良い”という消費行動は、工業製品でも同様にあります。

日本経済が停滞し、年収が伸びない状態が続き、消費税が増えて相対的に消費に回せるお金が減少し、「安ければ良い」とする消費傾向となったのは、工業製品も同様だったように思います。消費者が安い製品を求めるので、人件費の安さを求めて中国や東南アジアに工場を進出させる。輸送費やその他の費用を加味しても日本国内で生産するよりも安く上がるからどんどん日本国内の生産工場を閉鎖して海外に進出していきました。
経済活動なので、企業が海外進出するのを妨げる訳にいかないのも事実です。しかし、こんな状況が続けば製造業の空洞化に繋がるように思います。今回のコロナ禍で、不織布マスクでさえ海外からの輸入状態であることが判明しました。いざというときの緊急増産など臨機応変な対応も、輸入している場合には国内と同じにはできない訳です。新型コロナの影響で日本人全員がマスクを必要とした状況で、かつ生産国でも感染防止のためにひとりひとりが必要な状況になれば、輸入に頼っていたら国内で緊急増産しても必要分を供給できる訳がありませんよね。

〔「マスク生産(国内生産・輸入)数量 推移」を引用。データ:一般社団法人日本衛生材料工業連合会〕

しかし、まだ日本は国内で多くの製品について一気通貫で素材、部品から完成品までを作ることができる状況にあります。国内でのモノづくりを大事にして、将来の日本の姿を考える最後の機会のように感じます。日本はFINTECHがとても得意とは思えないですし、FINTECHでは、自動車のような製造業と比較して大勢の人が製品に関わることはできませんから、国民の貧富の差が大きくなりはすれども多くが豊かになるとは思えません。だから、国内のモノづくりを大事にして、多くの人が製品に関われるようにすることがこの国を豊かにすることに繋がると思います。

(U)

#028  2021/4/20
もう始まる?台風シーズン 水温高く上昇気流活発に


このコラムを書いている418日現在、猛烈な台風2号が発生し、今週後半には、沖縄や小笠原諸島に高波や強風の影響が及ぶおそれがあるため、注意喚起がなされています。この時点で、台風の中心気圧は895hPaで、5年ぶりに900hPa未満の台風となっているとのことです。(2016年台風14号以来)。

「えっ、もうこの時期に台風なの」と思う方もいらっしゃると思いますが、気象庁のデータによると、台風の発生は、1年中あり、今年は1号が2月、ここ5年間の1月から4月では平均毎月0.4個程度の発生となっています。ただし、今回の台風2号は、4月には珍しい大型台風となっています。

最近の日経新聞では、以下のように伝えています。(2021/04/14 日経速報ニュース引用)
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 平年より気温が高い日が多いまま、春も半ばを過ぎた。今週後半には初夏の陽気になるところも多そうだ。日本のはるか南の熱帯の海も夏のような状態になりつつあり、14日には台風2号が発生した。日本に向かってくる可能性もある。周辺の海域は海面水温が30度前後と高く、上昇気流による雲が多い。このまま本格的な台風シーズンが始まるのか、注目される。 (中略) 20年はシーズン前半に台風が極めて少なく、5月にようやく1号が、6月に2号がそれぞれ発生した。7月の発生はゼロで、8月になって急に8個もできた。今年はこれに比べると、早いペースで発生しそうだ。 (中略)

 ラニーニャの名残で、しばらくフィリピン沖などで上昇気流が起きやすく、熱帯低気圧の発生に適した条件が続く可能性もある。その後、夏本番を迎えるころには海面水温がやや下がり上昇気流も弱くなって、台風の発生しやすい位置が東へずれるかもしれない。発生場所が変わると進路や発達の度合いも影響を受ける。まだ不確定要因は多いが、早めに今シーズンの癖をつかみ、大雨への備えに生かしたいものだ。
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今年は、台風が発生する熱帯の海が、既に真夏の様相だそうです。今年は昨年と異なり、早い時期から台風の影響があるかもしれませんね。

さて、ここ数年、大きな災害が発生する度に気候変動への備えが話題になりますが、台風に限らず、いろいろな気候変動について、環境省、経産省等いろいろな省庁、機関がその適応や事業活動へのリスクに関し公表をしています。
どのようなことが気候変動影響として言われているかというと、
 ●
気候変動による自然災害や熱中症リスクの増加、農作物の不作など
 ●
海水温の上昇によって、強い台風が上陸することに伴う高潮や強風、塩害
 ●
サプライチェーンのグローバルな広がりによる世界各地の気候変動の影響を受ける可能性の拡大
とあります。その結果、『従業員の健康被害』、『市場や顧客ニーズの変化』、『気象災害による被害』、『空調等のコスト増』、『原材料の調達コスト増』、『サプライチェーンの断絶』が懸念されています。事業の継続性のためには、これらに備えていくことが増々求められてきていますね。

一方では、新たなビジネスへ適応していくチャンスも出てきています。

分野としては、
 
●気候変動影響での消費者嗜好変化を反映した商品開発
 
施設管理(対洪水、熱波等)
 
品質マネジメント(対高温多湿等への対応等)
 
環境マネジメント(水質悪化、汚染土壌/廃棄物流出措置等)
 
安全衛生管理(熱中症予防、感染症リスク防止等)
 
●サプライヤマネジメント(災害時の原材料調達体制の確保等)
 
省エネルギー対策(再生エネルギー導入等)
が考えられています。

気象に左右されるビジネスは多々あります。リスクへの対応をしっかりする一方、新たなビジネスチャンスへの取り組みなど、皆さんの備えは如何でしょうか。

(H)

#027  2021/4/13

マイタケ生産国内トップ

「聖域」打破が生んだ革新(日経ビジネスNo2086)を読んで

雪国まいたけ 「極(きわみ)」

2020年9月、雪国まいたけは東証一部への株式上場を果たしました。2015年の東証二部の上場廃止から戻ってきました。東証二部廃止になる直接の要因は米国投資ファンドの株式公開買い付けでしたが、そこまで業績不振になる理由が3点ありました。ひとつは、創業者の強大だった影響力に誰も社内で異を唱えることができなくなり、組織が硬直化していたこと。2つめは、2013年に内部告発された損失を少なく計上する不適切会計があったこと。3つめには、創業家と経営側の不信感から経営体制が不安定になったことではないでしょうか。

米国ファンドにより上場廃止になった後、会社がまず取り組んだのはマイタケの品種の入替えでした。一気に行なったために当初の収量は1割近くも下がってしまいました。これを解決するために、今度は組織改革の取り組みを始めます。

組織改革で取り組んだのは、“部門間の垣根を取り払うための3項目”でした。

1つ目は、研究開発部門を生産部門の一部に組織変更して商品開発の上流工程から情報の流れを良くしたことです。2つ目は、役員出席の経営執行会議を週一回にしたこと。これで情報共有が進み、社長が全ての情報を握って判断していくという体制から脱却できるようになりました。3つ目は、部署を横断したプロジェクトチームの結成です。これにより自然と部署間のコミュニケーションが良くなり、アイデアが実現できるようになりました。

ここでは、このプロジェクトチームの成功要因について考えてみたいと思います。

雪国まいたけでのプロジェクトチームの具体的成果としては、今までブラックボックスだった研究部門の蓄積の中に、営業で活用できる健康機能に関する研究内容があることに気づくことができたことがまず挙げられます。これが長期的にマイタケの効用を周知する武器となりました。これを元に販促の冊子が作られ、西日本への拡販と言う成功への大きな材料になったようです。こうした結果、エリンギや生しいたけの国内需要が減少する中で、マイタケの消費額はここ10年で70%増となりました。

このプロジェクトチームの成功要因を3つにまとめてみたいと思います。

・・・・・・・・・・
チーム活動を成功させる3つのポイント

・ 部門間・会社間・チーム間での情報交換による新たな気づき
・ 
気づきをベースにした、小さな成功体験の積み上げ
・ この成果を社内でサポートして周知してゆく方法があること

雪国まいたけでは、3つ目の社内でのサポートと周知は、毎週開かれる経営執行会議が役割を担っているようです。経営執行会議は物事を決めるだけでなく、情報の共有に力を発揮しています。

今後の展開

企業が成長する段階に応じて、社長の役割や組織のあり方は常に変化していくことが必要であることをこの事例は教えてくれていると思います。今、雪国まいたけは事業の多角化、海外展開を始めています。これにより更に継続的に組織を変革していくことが期待されます。
・・・・・・・・・・

業態や製品・サービスのバリエーションはいろいろです。
ぜひ、自社の業態や製品・サービスに置き換えて考えてみていただければと思います。

(東出)

#026  2021/4/6
後悔しないように生活しよう
~ “コロナの第4波”で始まった新年度 ~


新年度になりました。このコラムの執筆陣も5人になり、いろいろな話題が提供できそうで楽しみです。

そんな4月も日本各地で感染が急拡大している“新型コロナの第4波”の話題で始まりました。皆さんの周りでは感染された方はいらっしゃるでしょうか。正直、あまり聞かないという方がまだまだ多いのではないかと思います。海外諸国に比べれば感染者数が日本は著しく少ないですが、だいぶ長期になってきたので耳にすることも増えてくると思います。製品市場の世界、例えば自動車では月販3,000台を超えると、「街なかで最近よく見るね!」という印象を人が持つそうです。感染症の流行も同じようにどこかにボーダーがあるのでしょう。

そんな中、お取引先の方から「自分が感染した」という連絡を先週末に頂きました。その方はエンジニアで、仕事柄、外回りが避けられないお仕事です。仕事の依頼で先週半ばに電話した後に検査・感染が判明したそうで、仕事の結果報告方々、この連絡を頂きました。幸い、ご本人は無症状で普段通りに過ごせているそうです。

感染判明のきっかけを伺ったところ、オフィスで感染者が確認されて、フロア全員のPCR検査を行なったら自分が感染していた……という経緯だそう。「仕事の繋がりもほとんどない人だし……自分が外回りの時かもしれないし、全くわからない。」 ご家族が人との交流が不可欠な仕事に従事されている為に、ホテル療養を選択されたそうです。“どこでもらってもおかしくない”という状況が、既に眼の前にあることを実感しました。

この連絡の前、先週後半でしたが、以前から親しくさせて頂いている地方都市の中小企業の役員さんにも“コロナ状況”についてお話を伺っていました。その企業では従業員の方々に以下のことを守ってくださいと、この1年以上、繰返し啓発しているそうです。

 ●繁華街には行かない。
 ●マスク・うがい・手指消毒を徹底しよう。
 ●後悔しないように生活しよう。

「これをみんなが愚直に守ってくれているお陰で、幸い、会社からは感染者をひとりも出さずに過ごせている」と話していました。確かに地方都市では、繁華街、そして人が集まる場所は大都会に比べると特定・限定されるので、人の接触リスクは高まりますし、また訪問しないという“娯楽への辛抱”も厳しいです。この成果は従業員の皆さんが大変な努力をされているのだと思います。

特に大事なのは、実は3つめの『後悔しないように』です。感染してしまって「あの時、こうしていたら……」と思うことのないようにしよう、という声掛けです。まさに「規制」ではなく「自制」です。他者から制限(禁止)を掛けられるとストレスになりますが、自分がつまらない想いをすると思うだけで行動に制限が自然とかかるものです。先ほどの例にもあるように、もはやどこでいつ感染してもおかしくない状況です。そんな中だからこそ、もし感染しても「これだけ自制して徹底したのに罹ったのだから仕方がない」と納得できることは、治療をしていくにあたっても心持ちとして大事だと思います。

そして、もし身近に感染した方が出た時は、「お互い様」の心で接していきましょうね。

冒頭のエンジニアの方は、無症状でもホテル療養が1週間~10日はかかるそうです。変異株だった場合にはもう数日延長になるそうです。安静にして体調が悪化しなければリモートワークで仕事はするそうですが、自宅ではないだけに逆に話す機会が大きく減ります。この“カンヅメ”状態はメンタルヘルス的にも良くないので、私は入院期間中に何度か電話をする約束をしました。こうして話す・声を出す機会が増えれば、呼吸に“変化”が起きていないか自分で把握できる機会を作ることにもなります。こちらも気付いてあげられる機会にもなります。直接的なサポートができないからこそ、こんな支え方もあるのだと思います。

誰が罹ってもおかしくない時。まさに「相互扶助」の力が試されているのだと思います。

今回の緊急事態宣言の解除は一都三県が最後になりましたが、その解除前の金曜日から人出は猛烈に増えました。昨年4月の“緊急事態宣言”の前から、私は極力ピンポイントの接触になるよう基本的に車移動していますが、運転している傍目にも歩行者の数が一気に増えた印象を持ちました。その結果として第4波が始まってしまっています。

実は、このコラムを書いているまっ最中に、弊社の入るオフィスビルから感染者が出たという連絡が入りました。この数日で感染報告が2件続いて耳にする形になった訳です。やはり、今まで以上に身近なところまでウィルスが忍び寄ってきているのは間違いありません。
「まん延防止等重点措置」の適用など、改めて“規制”を強化する方向の動きも出始めていますが、個人は感染防止対策をいま一度徹底しながら、“自制”しながら生活していくようにしましょうね。

「後悔しないように。」

(鯨井)

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