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先日、知人に紹介されて、「Chat GPT」を試してみました。その結果も踏まえ、今回は、Chat GPTについて取り上げてみます。
まずは、皆さん、Chat GPTを試してみた事がありますか?
以下に、関連する新聞記事が有りますので、一読いただければと思います。2023/06/06 日本経済新聞 「新種の起業家アルトマン氏(Deep Insight)」からの引用です。
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「大企業や民間部門の代表者がやってきて『自分たちを規制してほしい』と懇願した例を思い出せない」。5月16日、米議会の公聴会に出席した議員は「歴史に残ることが起きている」と語った。視線の先には、生成AI(人工知能)のChat(チャット)GPTを開発した米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)がいた。
同氏はこの日、高度なAIの開発や提供にライセンス制を導入するよう政府に提案した。国際原子力機関(IAEA)を引き合いに出し、世界的な規制の必要性にも踏みこんだ。
自社の手足を縛りかねない主張を堂々とする。確かに、そこにはかつてない起業家の姿があった。異端、独走、破壊……。スポットライトを浴び称賛される起業家は長らく、そんな単語で形容されてきた。規制についても「政府は引っ込んでいた方がいい」というのが基本姿勢だったろう。
「言論の自由の絶対主義者」を自称し、巨額で米ツイッターを買収すると、荒っぽいかじ取りをみせた米起業家イーロン・マスク氏がひとつの象徴といえる。
アルトマン氏はどうか。人より賢い汎用人工知能(AGI)がもたらす恩恵を説く一方、リスクも素通りしない。人類絶滅を危惧する共同声明にも署名した。
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ここで述べられているのは、
ですね。
では、私が使ってみた事例をご紹介します。
私の質問とCHAT GPTの回答(原文から一部を抜粋)です。
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私:小学生へ揚力をわかりやすく、正しく教えたい!
ChatGPT:
揚力とは、物体が空気中で上昇する力のことです。小学生に揚力をわかりやすく、正しく教えるには、以下のような方法があります。
1)紙飛行機を作って飛ばすことで揚力を理解することができます。 紙飛行機の翼は上向きに湾曲していますが、これは翼の上面の方が長く、下面の方が短い形状をこの形状によって、空気の流れが速くなることで、翼の上面には圧力が緩やかになり、下面には圧力が速くなります。この圧力差によって揚力が生まれます。
(中略)
3)風船を空気で膨らませた状態で手放すと、風船は上昇します。揚力が発生するからです。風船を空気で膨張させた状態で手放すと、風船は上昇します。 これは、風船の表面には圧力が高く、内部には圧力が低いなため、揚力が発生するからです。
この回答が疑問だったので、もう一つ聞いてみました。
私:風船を空気で膨らませた状態で手放すと、風船は上昇するか、しないか?
ChatGPT:
・風船を空気で膨らませた状態で手放すと、風船は上昇します。これは、風船内部の空気が周りの空気よりも軽く、そのために揚力が発生するからです。
・風船を膨らませると、内部に含まれる空気の量が増加します。 風船は空気中の浮力を受け、上昇します。
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いががでしょうか。
揚力の1)の説明は、平板でも揚力は働くので、正確ではありません。3)は、空気で単純に膨らませただけでは、上昇しないですね。仮に温められた空気で膨らませたとすれば、上昇しますが、それは揚力ではなく、浮力ですね。
次の、質問に対しても、揚力と浮力の混乱が有りますね。
これを見て、最初に読み飛ばした、CHAT GPTの注意画面を読み返してみました。
「当社では安全対策を講じていますが、システムが不正確または誤解を招く情報を生成したり、攻撃的または偏ったコンテンツを生成したりする場合があります。アドバイスを目的としたものではありません。」
「時折、誤った情報が生成される可能性があります。」
私の場合、時折ではなく、たまたまなのか、2件中2件とも誤った情報が生成されました。
ここで、CHAT GPTが何をやっているのかを知らないままに使っていた私は、雑誌(「PRESIDENT 2023.6.30号」)等で「なぜ誤った情報を正しいかのように回答するのか」「そもそも出典は何?」の答えを得るべく調べてみました。結果、
・CHAT GPTは、一言で言えば「ネット上の膨大な文章(事実、誤情報問わず)から、“この言葉”は、“あの言葉”との相関性が高いというモデルのもとで、自然な文章を作成する、文章作成ソフトのようなもの。
・したがって、ネット上のいろいろなところから、文章を集めてくるので、出展なるものは、わからなくなってしまっている。
との理解に達しました。
以後、他の方々に正確ではない情報を流せないので、必要な検索は、従来通り出展がわかるGoogle検索に戻っています。
以上、CHAT GPTに対する、ほんの少しの私の経験を述べてみました。
皆さんは、いかがされていますでしょうか。
(林)
<前回コラム#129のおさらい>
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Z世代、ジェネレーションZとは、アメリカ合衆国をはじめ世界各国において概ね1990年代中盤から2000年代終盤、または2010年代序盤までに生まれた世代のことである。生まれた時点でインターネットが利用可能であった人類史上最初の世代である。いわゆるデジタルネイティブでもある。(ウィキペディア)
このようなZ世代に私たちはどのように対応して行けば良いのか。
・共感力
この言葉に集約されているように思います。
現実問題として、彼らの本当のところを理解することはできないように思います。
ただ、彼らの心情に共感することはできます。彼らの喜怒哀楽を素直に認めてあげることがコミュニケーションの最初だと思います。なんでそう思うのか、どうしてそんな結論になるのか、なぜ?なぜ?と問い詰めても元々の価値観が大きく違っている中では、無理があります。
ただ、彼らの心情に寄り添って共感することは可能で、そこがコミュニケーションの入り口になると私は考えています。
是非、共感力を鍛えませんか。
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共感力とはなんでしょうか。
いろいろな定義はあると思いますが、今日の話題では同意と比較する言葉として考えたいと思います。そして、共感力とは、“相手の言ったことに同意しないけど気持ちに寄り添うこと”ができる力とします。
では、どのようなシーンで共感力が必要になるのでしょうか。
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【共感力が必要なシーン】
コミュニケーションする中で、相手の言ったことには同意はできない。まだまだ考えた方が良い視点もある。方向性にも疑問がある。「考えはわかりました」と言っても良いが同意したような言い方で誤解は与えたくない。かと言って否定的対応はしたくない。相手も一生懸命考えて言っているのだろうし、いろいろな感情や気持ちも含めて、ある程度は決心して言っているのだろうから、それは最大限に理解してあげたい。
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では、こんなシーンではどのようにコミュニケーションすれば良いのでしょうか。
◆ 共感の3Step
1)傾聴 うなづく、目を見る、メモする……しっかり聞きましょう
2)共感 共感の言葉……少し大きめなボディアクションと一緒にしましょう
3)感謝 感謝の言葉。同意できなくてもきちんと感謝する言葉と態度にしましょう
2)の共感の言葉が少しハードルが高いかもしれません。
自分が使えそうな言葉をいくつか在庫しておいて使うようにしましょう。
言葉選びの基本は、相手の感情に寄り添うことです。
少しリストしておきます。
・そうだね
・そう思っているんだね
・そんな見方もあるよね
・そう考えてるのはわかった
・そうか○○○なんだね
・いつも○○○だね
・そういうXXXもあるね
・そうXXXもわかる
○○○には、大変、つらい、不安、あせる、くやしい、苦しい、腹が立つ、困る、悩む……
XXXには、状況、考え、行動……
ただ、考えが違うことを放置しておいては組織力を発揮して成果を出すことはできません。考えを一致させてゴールに向かう推進力が必要になります。
この場合、相手との「コンセンサス」が推進力になります。指示でもない、多数決でもない、全員一致でもない、コンセンサスです。
では、このコンセンサスはどのように成立させれば良いのでしょうか。
次回は「コンセンサス」を一緒に考えてみたいと思います。
(東出)
そんな梅雨時の毎年の話題が今回のコラムでのお話です。このビジネス未来&Co.についてです。
2020年6月の会社設立から3年。実に早かったです。コロナ禍ながらある程度の動きが取れるようになった昨年夏以降は特にスピードが上がった感じ。これが本来のビジネスの速度感だったのかもしれません。忘れていただけで……(笑)
皆さまのお引き立てもあり、お陰様で4年目に入ることが出来ました。
改めて皆さまに御礼を申し上げます。
大型案件を中心に組織を回す感じの3年目で、その一方で新たな取組みに向けた投資も行なった期でもありました。この3年目も新たに我々に関心を持って頂いたお客様が増えました。今回は、過去2年と同じ尺度で3年目を振り返り、良いこと・悪いこと、そして第4期の活動についてお話しします。
■目標の達成状況
第2期で目指した「会社のサイズを大きくする」ことを受けて、「皆さまにとっての“町医者的な存在”」であり続けられるよう、「まずは話してみよう」という気軽な相談相手となる活動を広く行いました。結果として、他社さまとの比較の中で「リーズナブル」(弊社の重要な特徴)というご評価・受け止めから、新規の企業さまからのお困り事相談の事案が多くなりました。
活動を俯瞰してみると…
① 会社業績は、想定までは到達しなかった。
② 営業活動は、仕事のご相談を頂けるお客様を増やすことが出来た。
③ 体制づくりは、自動車関連以外の業界経験を持つ専門家を増やせた。
④ 新規ビジネスの企画開発は、困難もあるが、地道に前進を続けられた。
⑤ 教育・研修分野の拡充は、当初計画に対して大きく遅れた。
と性質をまとめることができるでしょうか。
業績面から言えば、コロナ禍からの出口戦略の影響もあって、会社で利用しているサービス(業務委託やシステム利用料など)の価格が大きく上昇しました。前期は上昇した分を自社負担した為、経費的には厳しい内容になりました。2023年も価格改定は続いており、上昇分の一部を反映する形で4月に弊社のサービス価格を改定しました。お客様にご負担をお願いすることになったのは残念なところでした。
また、新ビジネスの“実現機会の創出”が3年目も想定ほど進みませんでした。国内経済の混沌がお客様が活動の方向性を決心することを難しくさせていて、世の中に漂う“中途半端感”とも繋がっている印象を持っています。歩みを遅くさせているこの雰囲気をビジネスで如何に打破していくか?をお客様と一緒に考えさせて頂くことに注力していく1年になるように感じています。
3年目は2年目の反省を踏まえて“欲張らない計画”にしていたので、こういった難しさはあったものの、会社としては最低限達成したい水準は何とか確保することができました。4年目に繋がる第3期にすることには出来たので、今期も地道に継続的に活動していきたいと思います。
■良かったこと・悪かったこと
具体的に振り返るべく、第3期も『活動面』を良かったこと/悪かったことの形で整理してみます。
【良かったこと】
● 電機業界の電池ビジネスに精通するメンバーを増やせた。
● 新しいリレーション(人間関係・企業関係)を創り出す機会に今期も恵まれた。
3年目は、「電動化」という世界の潮流の中で、リチウムイオン電池やxEV(電動車)に長く携わってきたメンバーが多くいるという組織の特性を一層強化すべく、自動車(・部品)以外の業界経験のある方をメンバーに加えることが出来ました。創業当初にイメージしたサービス領域の専門家がほぼ出揃って、この“幅だし”は今後に繋がるソフトウェア(人的)投資になったと思っています。
【悪かったこと】
第3期も“環境面”から見てみると
● 「コロナ禍の影響」+「インフレの急激な拡大」
● 教育・研修サービスの構築において、“走りながら整備する”ことがうまく進まなかった。
今年度も顕著な傾向として現れましたが、Face to Faceのコミュニケーションが出来た企業さまとの活動は大きく進展しました。リモートもやはり限界があり、「やりづらさ」・「会議の質の低下」を伴ってしまっているようです。特に、研修領域はこの影響が一番大きかったと思います。このようなことからコンテンツ重視で活動してみましたが、期の中で整えきれず、第4期に持ち越しています。
良し悪しを特徴で挙げてみると、こんな風に総括される1年だったかと思います。
■第4期は…
2年目から続けている「皆さまにとっての“町医者的な存在”」であり続けたいと考えています。「まずは話してみよう」という気軽な相談相手となるスタイルを継続します。
● 提供サービスのメニューの充実
● 知識・経験・スキルの提供機会の充実
「サービスのメニュー」という点では、『教育・研修』分野の整備に注力する期になります。「企業内研修」については既に個別のご依頼を頂けるようになっており、お客様のご要望に合わせた内容/講師をご提供しています。また、社内での講演会を始め、コンテンツの整備をメンバーが鋭意行なっています。これからの半年で発信力を高めていく計画です。また、より専門的な知識・情報のご要望に応えるべく協業先の拡充も継続して行なっており、海外企業とも連携していく準備を進めています。
デジタルコンテンツの提供サービスも7月中には開始できる見込みです。こちらは国のIT導入補助金の制度を活用した展開を進めており、手始めにインターネット書店を開店します。皆さまに使いやすいものになるよう、これからの3年で育てていくことをイメージしています。
初期3年が終わったばかりのまだまだ駆け出しの企業なので、業態が落ち着くまではもう少しお時間を頂きます。これからも様々な方々とご縁を結ばせて頂き、お話が出来ることを「知識と経験を移植する機会」と捉え、お客様やメンバーとオープンに語らいたいと思っています。また、働き方改革に沿った企業運営など自助努力も継続的に行ないつつ、第4期も皆さまと楽しく・明るく取り組んでいきたいと考えています。
引続き、よろしくお願い申し上げます。
(鯨井)
私は2001年よりリチウムイオン電池事業に係わっていたこともあり、仕事の延長上で、リチウムイオン電池を使用した携帯端末に興味を持ち、様々な機種を所有し、今に至っています。今回、現在のスマホに繋がる携帯端末の使用遍歴を振り返ってみたいと思います。
最初の携帯端末との出会いは2001年頃で、PDA(Personal Digital Assistant)でした。
PDAとは、個人向けの情報端末の総称で、大きさは手のひらに収まる程度のもので、スケジュール、連絡先、タスク管理など、手帳代わりになる機能を持つ端末ことです。今の時代から言うと、“電話機能のついていないスマートフォン”と言えばイメージしやすいと思います。
北米出張した際、現地スタッフが電子手帳らしきものに、ペン入力で書き込んでいるのが気になり、紹介してもらったのが、Palm社の『Palm V』という端末でした。
『Palm V』には、プレインストールソフトとして、「アドレス」「メモ帳」「スケジュール」「To DOリスト」が搭載されており、これらのソフト程度なら当時の“電子手帳”にも同様のソフトが搭載されていました。しかし、『Palm V』は、“電子手帳”を圧倒的に超えた、次のような特徴を持つ製品でした。
上述の特徴は今のスマホでは当たり前ですが、当時は、『Palm V』を使えば使うほど大きな驚きがあり、調べれば調べるほど新たな発見があり、カルチャーショックを受けました。
とにかく、『Palm』をいじり倒すことが楽しくて、仕事で活用するほか、プライベートのあらゆる情報を入力し、『Palm』中心の仕事、生活を送っている感じでした。
次に購入したのが、ソニーの『CLIE』です。(2002年頃) Palmと同じ「Palm OS」が搭載され、操作が同じで扱い易さがあったこともありますが、『CLIE』では、新たにカラー液晶、音楽再生機能(MP3)、カメラ機能、メモリースティック(ソニー独自仕様のメモリカード)等のエンタメ機能が搭載され、マルチメディア端末として使用できるのが魅力でした。
この『CLIE』を所有している期間、サードパーティから出ている付属品を使って、『CLIE』に何とか通信機能を追加できないか、試行錯誤を繰り返していました。通信機能を追加することで、『CLIE』で電子メールの送受信を出来るようにして、出張中や移動中の仕事の効率を上げられないか、と考えていました。いくつかの付属品を試し、最終的には通信が出来て、メールの送受信も出来るようになるのですが、当時は通信速度が遅く、電車移動中に通信が途切れ、トンネル・地下は繋がらない等、実用性に乏しく、「私だけの通信機能付きPDA化」は、空しい結果となりました。
この同時期に、カナダのリサーチ・イン・モーション社(後のBlackBerry社。2006年NTTドコモから日本市場へ販売を開始)のキーボード付き『BlackBerry』端末があり、北米市場で電子メールの通信サービスを実現していました。
ウォークマンと比べると、メモリースティックより圧倒的に重いHDDを搭載し、容積も大きい『iPOD』は、当初は、「携帯性が悪く、ウォークマンで十分」と考え、興味が持てませんでした。しかし、メモリースティックよりHDDの方が、メモリ容量が圧倒的大きい*ので、家で所有しているCD等の音楽を全て持ち出せ、一度、音楽を保存すると、何百曲の中から、何時でも好きな曲を聴ける利点に気づき、『iPOD』を購入する決断しました。この決断は、HDDを搭載しただけで、ユーザーの音楽を聴くスタイルを考え、ニーズを捉えた携帯端末の製品企画の凄さを知り、理解した結果でもありました。
加えて、『iPOD』の管理ソフトだった“iTunes”において、2003年(第4世代『iPOD』の)頃、『iPOD』と“iTunes Store”との接続機能が追加され、『iPOD』はますます使い勝手が良くなったと感じました。“iTunes Store”を得た『iPOD』は、秋葉原等でも在庫切れが多発し、容易に購入できなくなるほどの爆発的な世界的なヒットとなりました。この“iTunes/iTunes Store”が、音楽のダウンロード購入プラットフォームの先駆けであり、ここからApple社が復活し、世界最大規模のIT企業への道を進み始めました。そして、この頃からビジネス書・雑誌に「プラットフォーム型ビジネスモデル」という言葉が多く使われるようになったと記憶しています。
私は、まさにこの時期に、リチウムイオン電池の営業担当者としてApple社の『iPOD』への初参入を果たし、100%のシェア獲得に成功しました。Apple社向けリチウムイオン電池の所要が、突然、爆発的に増加し、信じられない量の受注を獲得した等、忘れられない思い出です。
そして、Apple社は2007年に『iPhone』を発売します。私が待望していた“通信機能付PDA”の登場となったわけですが、これまでの携帯端末が“ペン入力”だったのに対し、“指入力”だったことに違和感がありました。PDAユーザーは、“ペン入力”が当たり前で、“指入力”だと誤入力など入力精度が落ち、画面が汚れること、画面フリーズすること等に懸念を持っていることを「Apple社は理解できてないなぁ!」と勝手に思っていました。
しかし、予約開始後、即購入した『iPhone』は、私の懸念が無いばかりでなく、想像を超えた“指入力”の精度であり、フリーズもほとんどありませんでした。期待以上の通信機能付きPDAであり、“携帯電話”から“スマホ”に進化したことを実感しました。現在に至るまで『iPhone』が成功し、現在も世界に多くのユーザーを抱えているのは、Apple社がプラットフォーム型ビジネスを活用したことなど、多くの成功要因があると思いますが、私はApple社が「“Human Interface”を考慮した上で、“指入力”を選択。そして、その“指入力”の精度を実現したことが大きな成功要因のひとつだった」と強調したいと思います。
余談ですが、中国ATL社⁑は、Apple社にリチウムイオン電池(ラミネート型)の提案を行い、『iPOD』で参入を果たし、『iPhone』で飛躍的な成長を遂げます。
最後は、Tabletです。Apple社の『iPad』は初代から現行機種まで継続して使用しています。iPad所有前と後で比較すると、『iPad』を使用することによって、①いつどんな時でも、新聞や本を読め、YouTube等動画配信を視られる、という便利さ以外にも、②サブスク契約による購入コスト削減、③新聞・本・雑誌等の廃品回収処理が不要等、自分の生活コスト&スタイルが大きく変化していることに気づきます。
また、1年前より、Amazon社の『Fire Tablet』の使用を開始しました。
Amazon社『Fire Tablet』は、搭載しているAmazonのAI技術「Alexa⁂」を通して、私から一方的にTV電話を開通することが出来るため、スマホ及びWeb会議等の操作ができない実家の両親との日々の連絡に活用出来ています。
使用した実感として、手軽で便利であること、親が楽しみにしてくれていることを考えると、遠く離れた年老いた親と子の新たな通信・交流スタイルとして浸透していくように思えます。
以上が、私の携帯端末の使用遍歴です。
携帯端末は私の趣味ではありますが、同時に、趣味の延長でリチウムイオン電池市場のマーケティングを行っている感じでもありました。
マーケティングの観点で総括すると、2001年以降今日に至るまで、携帯端末の進化は驚くべきものがあり、リチウムイオン電池が採用されたことにより、製品性能は飛躍的にアップし、リチウムイオン電池も大きく飛躍した時代でした。しかし、同時に、様々な事業や製品の栄枯盛衰があり、どれが勝ち馬なのか選択するのが難しい時代とも言えました。
今回のコラムを通して、現行スマホが持っている性能はこれまでの携帯端末の歴史の集大成であり、現行の多機能なスマホは一朝一夕で創られたものではないことは、ご理解頂けるものと思います。
【注】
* 当時の容量は、メモリースティックDuo:256MB~4GB、Ipod(第4世代):20~40GB
⁑ Amperex Technology Co., Ltd。現在、TDKの子会社。ATL社を基盤に生まれたのが、現在、車載用電池No.1のCATL(Contemporary Amperex Technology Co., Ltd)社。
⁂ Amazonが開発したバーチャルアシスタントAI技術。音声対話、音楽再生、ToDoリストの作成、天気、交通、スポーツ、その他ニュースなどのリアルタイム情報の提供が可能。
(田口)
ゴールデンウィークに羽田にあるN航空会社の整備工場見学ツアーに参加してきました。
「見学日の1ヶ月前の同一日 午前9:30からWeb受付」に対して、1分間で予約一杯になるとも言われる程の人気ある工場見学ツアーの1つです。 私も以前からトライしてきましたが、今回偶然にも予約が取れてラッキーでした。
東京モノレール「新整備場駅」を降りて地上に出ると、そこはほぼ羽田空港の敷地内。目の前の誘導路を離陸前の飛行機がゆっくりと通っていく。雄大な機体、なんとも言えないジェットエンジンサウンドと独特な排気ガス臭。工場見学する前からワクワク感を盛り上げてくれました。
整備工場の外で案内板を持った方、行先を案内してくれる方、受付の方、エレベーターへ案内してくれる方など、多くのN航空スタッフさんによって段取り良く、親切に展示エリアまで案内してくれました。流石、航空会社の方々。行き届いた対応で、安心感と共に心地良くも感じました。
展示エリアでは、フライトを支えるスタッフさんの仕事内容のパネル/タッチ画面での紹介や、その方々が使っている備品や工具類、歴代のCA制服、エンジン・タイヤのカットモデル等々の展示がありました。そして実際に使用されていた機体のコックピットも展示されていました。
近くにいたスタッフさんがスッと近づいてきて、こちらが身構えることもなく、自然な感じで、分かり易く説明して下さったり、写真を撮ってくださったりしました。
ここでもスタッフさんの気遣いや接客態度の良さを感じた場面でした。
次はいよいよ飛行機に会える格納庫の見学です。
展示エリア出口の両開き自動ドアが開いた瞬間、その向こうに広大な格納庫内の景色が広がり、大きく翼を広げた飛行機の雄姿が見えました。見学者みんなが「ワァー」と感嘆の声を上げてしまう瞬間でした。
見学者は5~6名の少グループに分かれ、スタッフさんに引率されながら説明を受けます。
格納庫の広さや機能、整備士の人数や勤務体制、女性比率、機種ごとの機体の特徴や見分け方、機体記号(JA○○○○)の意味等々。「飛行機の出発時間とは具体的にどのタイミング?」などクイズ形式での問い掛けもあり、色々と教えて頂きました。こちらからの質問にもちゃんと答えて頂きました。
丁度行ったときはA350、B777やB737が定期点検で入庫していて、エンジンカバーを開けて整備しているところも見られました。
およそ2時間の工場見学でしたが、あっという間でした。
展示エリアではプロジェクションマッピング、VRや大音響の演出がある訳でなく、大企業としてはリーズナブルな展示だなと思いましたが、これからの格納庫見学へのワクワク感の盛り上げは充分でした。
そして格納庫では、普段は絶対に入れない場所で、絶対に見ることの出来ない角度や近さで飛行機が見られるなんて、興奮の連続でした。飛行機に関心の無い人でもきっと興奮するのではないでしょうか。
演出としては最高の感動を与えてくれました。
そしてもう1点。この工場見学で感じたことは、スタッフさんの「接客態度、言葉遣い、気遣い」が良かったことです。
教科書や台本を暗記して説明するのではなく、理解した上で自分の言葉で分かり易く説明し、見学者と対話をしながら飛行機にまつわる貴重なエピソードや感想も交えて、また整備工場内での安全にも気遣いながら案内して頂いたことです。
これはN航空の社風そのものなのでしょう。「お客様をもてなす心」を感じました。
今日の「感動やおもてなし」によって、「会社のブランド力向上」や「次回の空の旅には当社を利用して欲しい」という企業としての期待や思惑があるのは分かっていますが、その通りに思わせてくれた工場見学ツアーでした。
あなたの会社ではどのような工場見学をしていますか?
会社と商品の魅力を実感してもらい、収益の向上、新入社員の確保や従業員の働き甲斐に繋がっていますでしょうか?
北海道のNウイスキー蒸留所、神奈川県のAビール工場などでは、見学後に無料で試飲させてもらえるという話題性もあって見学者の増加に繋がっていますが、商品が出来るまでの工程説明では、「工場の特徴や工夫・苦労話」、「創業者や社員の熱意やこだわり」等々のエピソードも交えながら、そしてガイドさんは丁寧に熱意を持って説明していました。
見学者はそこに「感動」を覚え、「工場見学に行って良かった」と思ってくれるのでしょう。
この感動が「商品の付加価値」となって、その商品の購買意欲へ繋がっていくのだと思います。
工場見学は単に造り方の知識を得るだけではないということです。
では、“工場見学のポイント”をまとめてみます。
1.プレゼン資料の準備
2.説明の仕方
難しいことを難しく説明するのは簡単。難しいことを簡単に説明出来るのが一番難しいが、重要なこと
・子供には更にかみ砕いた説明を
・高齢者にはゆっくりとした口調で
・外国語担当者や手話担当者も居ると好ましい
・お菓子会社など子供の参加が多い見学ではキャラクター(着ぐるみ)の導入も一考
3.現場での説明
例えば、「全自動の最新式設備にて高品質で高効率で生産していますが、ここだけは職人さんの技が必要な工程なのです」、「この工程だけは、○○の為に、創業以来ずっとこの方式/設備を使っています」・・・とかの「製造のこだわり」を伝える。
4.体験、体感、共感
5.品質管理
6.清潔感
7.案内者
8.おもてなしの心
……如何でしょうか? あなたの会社では出来ていますでしょうか?
何も知らない人にも、子供にも感動してもらうのは難しいことですね。
私は40年間、製造業の技術員として働いていましたので、工場案内を幾度となく行ってきました。
政治家、商工会、自治体、関連企業、一般者、そして小学5年生まで幅広く。
予習をして、説明はしっかり出来ていたと思ってはいますが、はたして感動して価値を感じてもらえていただろうか?……今更ながら、自分のレベルを再確認させられたN航空会社の工場見学でした。
(前野)
今回は、リチウムイオン電池について、現在、数多く使用されている電解液を使用した電池について、その種類について簡単に解説したいと思います。
鉛電池など他の種類の電池に比べ、エネルギー密度(単位体積または単位重量当たりに蓄えられる電気容量)が高く、サイクル寿命も長い等のメリットがあるリチウムイオン電池は、環境問題もあり、ここ10年で、電気自動車や様々な分野に広く使用されていることは周知のとおりです。
一方、従来使用されてきた鉛蓄電池に比べると、安全性確保のため、電池への入出力・電池電圧・温度等の監視制御を行う必要があり、これらをBMS(バッテリーマネージメントシステム)で行う必要があります。
リチウムイオン電池と言っても様々な種類があり、電解液を使用するものでは、正極材料や負極材料により、表1のような分類となります。
最近では、グレーでハイライトした材料が主流となっています。
自動車用では航続距離を長くするため、正極材料は高エネルギー密度が得られる「三元系NMC」で、NMC523→NMC622→NMC811と、Ni含有量の多い正極材料が開発され使用されています。
また、負極材料はより高エネルギー密度、高い入出力特性を求めて、SiやLiを使用したものが開発されつつあります。最近、新聞紙面に登場していますが、サイクル寿命や安全性が課題となると思います。
また最近よく耳にする、リン酸鉄リチウムイオン電池があります。従来、この電池の最大の欠点として、エネルギー密度が低いということがありましたが、近年では開発が進み、上記「三元系NMC電池」には及ばないものの、エネルギー密度も向上してきました。
この「リン酸鉄リチウムイオン電池」は、コバルトなど高価な材料を使用していないためにコストが安い、サイクル寿命が長い、より安全というメリットがあり、低コストの自動車や、毎日充電されるような商用車両には、適合性が高いと考えられています。
もうひとつの負極材料として「チタン酸リチウム」も広く使用されています。エネルギー密度が低く、コストが高めというデメリットもありますが、他の電池にない、超寿命/高入出力/高安全とされています。鉄道等、より高い品質が求められる用途に使用されています。
皆さんが、今後リチウムイオン電池を使用する場合は、どの種類の電池がよいかを、よくよく検討すると思いますが、数量やコストによっては、電池の入手性が大きな問題なることが多く、事前の商流検討は必須となります。
現在、より高いエネルギー密度、高い入出力、安全性を求めて、全個体電池の開発が進められています。全個体電池で、日本が復権することを願っています。
次回は、リチウムイオン電池の「使い方」(BMSでなにを制御するか)を解説します。
1) サイクル寿命とは
充電/放電の繰り返しにより電池に蓄えられるエネルギー量が減少する特性。他にも経時劣化による寿命もあります。また、蓄えられるエネルギー量の減少量をSOH(ステート オブ ヘルス)と呼び、%で表します、SOH85%とは容量が15%低減したという意味になります。
2) 三元系NMC電池とは
ニッケル、マンガン、コバルトを含む正極材料の電池の総称
3) NCA電池とは
ニッケル、マンガン、アルミを含む正極材料の電池の総称
4) 高入出力の意味
電池に充電、電池から放電できるエネルギーが大きいという意味。特に充電においては、高速充電が可能となる。電池容量の大きい電気自動車では充電時間が問題となり、高入出力が求められる。
5) BMS(バッテリーマネージメントシステム)
電池を安全に使用するための監視・制御回路。(次回に解説します。)
(山田)
会議 当日の意見 出しは、上記①~③の事前準備の基でスムーズに スタートできていますでしょうか?
ともすると 以下のようなことでお困りだったら それは改善のチャンスです!
ここではほんのこぼれ話ですが、ご参考になれば幸いです。
◆『会議を①~③の手順でしっかり準備してきたのに、何故か場がギクシャクしているのが否めない。普段、自由闊達に話し合っている調子で意見が出ない』状況で困っている!
形ばかりの意見は出たものの、在り来たりの意見留まりの様子に上司はイライラして終わる会議にも…
この状態から訣別し➡皆からもっと闊達に多くの意見やアイディアが出る場へと進化させるコツとは?!
◇コツの発揮に向けた脳内潜在プロセス例
◇そのような場の状況にしたら、もっと闊達な場にする には コツがあります。
◆会議中の困り事→解決へのコツ を各々、対で解決例のコツを以下にいくつか述べます。
イ)【困り事】意見を持っているのに言い出せない。↓
→【解決策コツ】各自に脳内の 意見を 手元の何かに まず メモって 貰い読み上げる。
ロ)【困り事】意見を言っているのに途中で口を挟まれて最後まで言いきれない。↓
→【解決策コツ】他人の意見は、話終わる迄きちんと聴く→【ルール化】する。
ハ)【困り事】意見を言い始めたら長々と喋り終わらない。↓
→【解決策コツ】発言は要点を1分以内に纏めて簡潔に喋る→【ルール化】する。
ニ)【困り事】意見を1回言ったのに途中で不安になって何度も繰り返し言うのでくどい。↓
→【解決策コツ】発言の要点やキーワードを皆が見える場所にメモっておく→【ルール化】する。
いかがでしたか?上記のお作法を皆が守ることで、場の意見のキャッチボールがだいぶスムーズになって、貴重な意見交換がより効率的・効果的に進められるのではないでしょうか?
特に、“【ルール化】する“としたような箇所は、日頃の皆さんの会議での慣習・癖(笑)から自由に、予め作成しておき、会議中に見えるように貼っておき、会議の最中や事前・事後に確認をしながら進めると効果が増します。
実際には、世の中の会議作法として実は『グランドルール』等と呼ばれて愛用されていますので、是非、皆さまの社風に合ったオリジナルな『グランドルール』を作成・改訂・活用される事をお薦め致します。
こういった『グランドルール』等を活用することで、最初は意見出しを躊躇していた方も だんだん出し慣れてきて 結構 スムーズに意見を出し尽くせるようになりますよ。
すると、気を良くした皆は、多くの多様な意見出しが産まれる確率が高まって来るのです。
これこそが、皆が忙しい中、敢えて1つの場に合いまみえて議論した会議の場を持った甲斐が有ったということで→まさに会議により出る創造的意見こそが新たな付加価値を産み出す真骨頂と言えましょう!
この貴重な場で産まれた新たな付加価値の意見を、是非実践にまで活かされて、好業績に繋がると共にこの場で得た各社員の意見表明えきる自信も付くことで、皆が良い成功体験を重ねて成長される事を願ってやみません!
◆『今後に向けて』
今回は、より有意義な会議に向けた「④会議当日意見出しお作法を中心にお伝えしました。
いかがでしたか。いくつかのこぼれ話から1つでも皆さまが拾えて再活用できるものが見つかりましたら幸いです。
また、筆者のコラム担当回では、引き続き、実際の会議の中での有効なポイントをお伝えし続けたいと思います。どうぞ、お楽しみに!
このコラムに関連して、会議のより有効化にご興味を持たれた方は、ビジネス未来&Co.にご一報戴けましたら、ご相談をいつでもお受けします。皆さまのご連絡をお待ちしています。
(井上)
なぜ死について考えたり、語りたいですか?(回答の一例)
そこで今回は、私の身近にいた3人の生き方と逝き方を振り返ってみました。
◆Aさんの場合
元気だった頃の私にとってのAさんは、何でも知っていて何でもでき、何でも教えてくれるスーパーマンのような存在でした。
そんなAさんがある時、徐々に全身の筋肉がやせて力がなくなっていくという難病に侵されました。何れ自力で呼吸することも出来なくなる日が来ることを知ったAさんは家族に「呼吸器は絶対に着けるな」と厳命しましたが、発症から5年が過ぎた頃、いざその時が来ると家族はAさんの命令に従うことが出来ませんでした。家族にとっては、脳は全く健康そのものであるAさんに延命措置を施さない(=安楽死)という選択肢は無かったのです。そして本人も家族の決断を受け入れざるを得ませんでした。
その後のAさんは肺炎を併発して亡くなるまでの5年間、本を執筆、若手看護師の指導役を務める、ドイツからの留学生のドイツ語での話し相手など、パソコンや文字盤を駆使してコミュニケーションを図りながら、最後までしっかり存在価値を発揮しました。発病してからの10年間で私がAさんから学んだことは、Aさんが健康だった期間に学んだこと以上だったかも知れないと感じています。
◆Bさんの場合
Bさんは私が師匠と尊敬していた方でした。Bさんの言葉はいつも優しく、どんな質問や相談に対しても「なるほど!」と思える素晴らしいアドバイスを頂きました。Bさんは日々精力的に世の中に貢献し、世界中にたくさんの友人を持っていました。
ところが、ある日突然、Bさんを重い病が襲い、それからは入院生活を余儀なくされました。それと同時にBさんはそれまでの全ての仕事を辞め、家族との時間を何よりも大事にしながら穏やかな余生を送りました。
Bさんの没後に行われた“お別れの会”には日本中から大勢の友人や教え子が集まり、海外の複数の友人からのビデオメッセージも届きました。それはBさんがどれだけ多くの人の生き方に影響を与えていたかを証明するかのようでした。
私は今も迷った時にはBさんならどのようなアドバイスをくれただろうと思うことがあり、私の中では彼女の教えが生き続けています。
◆Cさんの場合
Cさんは若い頃からとてもアクティブで独特の価値観を持った人でした。自分のためにお金を使うことはムダと考える一方で、他者や世の中のためには惜しげもなく私費を投じて様々な事をしてきました。
そんなCさんの全身を、ある日突然原因不明の激痛が襲いました。それからは日常生活もままならなくなり、いくつもの病院で検査を受けた結果、やっと診断がついたと同時に医師から余命宣告を受けました。
余命半年と言われたCさんは「やりたいことリスト」を作りました。発症後に書き溜めた趣味に関する話を自分で製本して親しい人たちに送る。母親の米寿のお祝いをする。学生時代からの親しい仲間と会う。長年ボランティアを務めた施設に挨拶に行く。自分が逝ったことを伝えてもらいたい人の名簿を作る。家族にお寿司をご馳走する、等々。そして、自宅で最期を迎える。(決して救急車は呼ばないよう家族に厳命!)
人の世話になるのを嫌うCさんにしてはかなりわがままな願いごともありましたが、関係者のサポートも受けながらこれらを次々と実現させました。今でもCさんの声は鮮明に脳裏に焼き付いていますが、改めて「強い人だった!」と感じます。
◆3人の共通点
振り返ってみると、上記の3人にはいくつもの共通点があると感じます。
◆“死生観”についての偉人の名言
最後に、今回紹介した私の身近な人の例と通じるものがあると感じた“死生観”にまつわる“偉人の名言”をいくつか紹介します。
参考資料;
・NPO法人幸ハウス「死生観に関するアンケート」(2021年8月実施)
・153の偉人の死の名言集。彼らの考える「生と死」とは?(アダチきむら)
(田村)
世界に先駆けて日産が発売した電気自動車(以下、BEV)の2代目Leafに乗って、最初の車検を取ってから早くも半年後の定期点検を受けました。私は、自宅で充電するのですが、最近、近くの市役所の急速充電設備(勿論、無料)の横を通り過ぎるときに、充電待ちの車を見かけることが多くなりました。
最近、日本でもEVの新車の発表を聞くことが多くなり、どれ位BEVが普及しているのか気になり、日本だけでなく世界的にBEVの普及率についてネット*1で調べてみました。日本でのそれは、私の期待値とはかけ離れて低く、欧米、中国と比較すると更に低いことに驚きましたので、その普及状況と今後の対応を主要な地域別に紹介します。
◆各地域のBEV/PHEVの普及状況
1)日本;
図1から、1%未満で普及と言う言葉を使うのも気が引ける位、少ないですね。
〈図1〉BEV/PHEV年度別及び2021年の燃料別新車販売台数(普通乗用車)の割合
ただ、図2から、BEV普及には2022年6月に販売開始した軽BEVが大きく貢献しており、トヨタの今後の採用計画等、今後のBEVの普及に期待できます。
2)米国;
図3から、CAFÉ, ZEV*2等の規制の厳しいCAがあるので正直もう少し普及していると思っていましたが、米国全体ではこれからのようです。
〈図3〉BEV年別販売台数・販売シェア(乗用車)の推移
3)欧州;
図4は、欧州各国の代表としてドイツとノルウェーの普及状況です。欧州は、特に北欧は、世界で最もEVが普及しています。
〈図4〉BEV/PHEV年別販売台数・販売シェア(乗用車)の推移
4)中国;
図5から、2021年から急激に普及し始めています。
〈図5〉BEV年別販売台数・販売シェア(乗用車)の推移
◆世界のBEV/PHEV普及状況
図6から保有台数は、市場規模、EV向け電池の生産拠点とゲームチェンジのし易さからか、中国でのEVの普及が最も進んでいることが理解できます。
◆各国のBEV/PHEV普及加速のための推進
各国は、脱炭素社会実現のため、2030年を目途に、BEV, PHEV, FCV等の普及に向けた以下の目標を設定して推進しているので、今後、普及率が上がっていくことが想像できます。
1)日本; 2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現。
( “電動車”には、HV, FCVも含まれ、全車をBEVにすることではない。)
2)米国; 2030年までにアメリカ国内で販売する新車の50%以上を電動化。
3)欧州; CO2排出量を「2030年までに2021年比で55%削減」「2035年までに2021年比で100%削減」と、事実上2035年にはHVも含めて内燃機関エンジンが禁止。しかし、ウクライナ戦争の影響で、E-FuelエンジンはOKに。
4)中国; 2035年までに「NEV(New Energy Vehicle) の割合を50%以上」とし、そのうちBEVを95%以上にし、NEV以外の50%のガソリン車を全てHVに。
各国は上記の目標を達成するため、充電器のインフラ投資支援、購入支援の補助金、Batteryを含めた車両開発の支援、工場の投資の支援を打ち出しており、2030/35年に向けてBEV/PHEVの普及が加速していくことが期待されます。
現在のところ、日本は普及率では大きく欧米中に離されていますが、技術が遅れている訳ではないので個人的には悲観していませんが、地域毎の最適解が選択されて、BEV/PHEVにこだわることなく、CEV(Clean Energy Vehicle)の普及が進むことを願って止みません。
【引用元】
*1; くらしTEPCOのサイトから
「【最新版】電気自動車(EV)の普及率はどのくらい?「日本で普及しない」は本当?」2022-11-25
*2; CAFÉ=CAFE規制はCorporate Average Fuel Efficiencyの略称で、企業別平均燃費基準のこと。
車種別ではなくメーカー別で平均燃費(CO2排出量)を算出し、年間販売台数などを加味して一定の基準を超えたメーカーに罰金を科す規制。
*3; ZEV=Zero Emission Vehicle。走行時にCO2等の排出ガスを出さない、EVやPHEV、FCVのこと。
(片岡)
『Z世代、ジェネレーションZとは、アメリカ合衆国をはじめ世界各国において概ね1990年代中盤から2000年代終盤、または2010年代序盤までに生まれた世代のことである。生まれた時点でインターネットが利用可能であった人類史上最初の世代である。いわゆるデジタルネイティブでもある。』(ウィキペディア)
いよいよZ世代が社会に出て経済の中心になろうという時期が来ています。
私たちは、どれくらいしみじみとZ世代を理解しているのでしょうか。
Z世代は、社会に出る準備をしている時にコロナの大波を真正面から被りました。そこにどんな変化が起きたのでしょうか。今回は少し考察していきたいと思います。また、Z世代に続くα世代も社会に出る準備の真っ最中です。さらにどこが変化していくのでしょうか。
Z世代を語るに必要なキーワードを並べてみます。
いかがでしょうか、今時の若者(自分たちも言われたわけですが・・・)の姿が見えてくるでしょうか。もう彼らには生まれながらにしてガラケーはありません。最初からスマホです。学校のレポートもスマホで書いてメールで提出するというのが可能な世代です。有名ブランドへの執着がありません。それよりも自分スタイルをアピールします。平等性を追求しますので、同一作業・同一賃金が実現できないと明確にクレームします。“コスパ”よりも“タイパ”優先で合理性を追求します。
この辺りまでは、そうかなぁとなんとなく理解できるように思います。
社会問題への関心の高さは、それまでの世代とは一線を画す特徴となっているようです。
例えば、SDGsへの関心の高さ。中でもジェンダー、貧困、健康福祉への関心の高さは特徴的だそうです。LGBTの話題でも彼らには特別なことではなく、今や当たり前に周りにLGBTの人がいる環境を受け入れています。SNSのインフルエンサーが身近で、インフルエンサーにLGBTの方々が多いこともその背景にあると思われます。
このようなZ世代がコロナの大波をかぶってどのように変容してきたかを特徴的なキーワードで見てみましょう。
確かにそうだろうと思うところもあります。何か情報が欲しい時には、GoogleではなくSNSで情報収集します。友達との会話はオンラインが中心です。結果的に家にいるので、家族で過ごす時間が増えて家族を大切にする価値観が上昇してきています。親も自宅で仕事をして家事をしながら子育てをしている状況から考えるとそうかもしれませんね。
このようなZ世代に私たちはどのように対応して行けば良いのか。
『共感力』
この言葉に集約されているように思います。
現実問題として、彼らの本当のところを理解することはできないように思います。
ただ、彼らの心情に共感することはできます。彼らの喜怒哀楽を素直に認めてあげることがコミュニケーションの最初だと思います。なんでそう思うのか、どうしてそんな結論になるのか、なぜ?なぜ?と問い詰めても元々の価値観が大きく違っている中では、無理があります。
ただ、彼らの心情に寄り添って共感することは可能で、そこがコミュニケーションの入口になると私は考えています。
是非、“共感力”を鍛えませんか。
次回は、共感力の本質と方法論を考えてみたいと思います。
またα世代についても見てみたいと思います。
(東出)
4月を迎え、新たに社会へ出た方、環境を新たに再スタートされた方もおよそ3週間が経ち、職場への通勤をはじめ、少しずつ新生活に慣れてきた頃ですね。会社の仕組みや人間関係はまだまだこれから…というところだと思います。そんな皆さんに参考となるネット記事を読みました。昨年8月にお亡くなりになった京セラの最高顧問だった稲森和夫さんに関するものです。(東洋経済オンライン 2023/04/16 『京セラ稲盛氏が中途入社組の疑問に答えた「言葉」 「社長、おかしいじゃないですか?この会社は」』)
京セラとKDDIで副社長を務めた山本正博氏が著した『熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間』。稲盛氏の思想をいくつかのエピソード等を通して紹介した本ですが、この紹介記事では以下の要素を取り上げています。
・社会と企業を混同してはいけない
・社内会議の様子
・理解者や同志を増やす
今の社会や企業の取組みに対するアンチテーゼにも聴こえるテーマです。常に社員の方向性を合わせ、会社全体が同じ方向を向くことを重視した稲盛氏。その紹介記事を読みながら、自分にも心当たりがあったので、今回はこれを引用・要約しつつ、私の経験も絡めてお話ししていきます。(元の記事も是非参照ください。)
■社会と企業を混同してはいけない
山本氏によると、中途入社時の京セラには、軍隊みたいに整列する朝礼や体操があって、「なんだ、この会社は」と思ったそうです。また、社屋の中で酒を飲みながらみんなでざっくばらんに話し合うという社内コンパもあったりして、企業風土の違いを強く感じたのでしょうね。
そのコンパで、ある社員が稲盛社長へこの風土について、自由であるべきでは?と質問したところ、稲盛氏は「社会と企業を混同してます」と。「社会というのは、みんな自由だ。どんな主義主張を持とうがかまわないし、自由に振る舞える。そうでないと社会はおかしい。だけど企業は、社員たちを食べさせて、税金を払って国に貢献して、そして会社を成長させて社員の将来まで保証しないといけない。そうしようと思ったら、それなりの企業としての意志が要る。その意志に従って企業は成長していく。だから企業と社会とは別です。混同したらダメです」と、その信念を明快に答えたそうです。
山本氏は、現在でも「自分はどこにあっても常に自由だ」と思うばかりに会社とのちょっとした食い違いにトラブったり、悩んだりしている人は結構多いのではないでしょうか、と述べています。皆さんや周りでは如何でしょうか。現代に大きく伸長した企業の様子はどうでしょう。多くの経営TOP(例えば、テスラ)にハラスメント色を感ぜずにはいられません。彼らの信念や人間性が従業員に伝わっているか?/企業哲学を共有出来ているか?で、働き手の受け止め、そして企業文化の醸成に大きく影響を与えています。Twitter社の一件を境にイーロン・マスク氏のオーラが剥げてきた印象を私は持っています。果たして、皆さんの周りはどんな雰囲気でしょうか。
■社内会議の様子
山本氏は、「簡単に弱音を吐いたりしたら怒られた」と言います。会議で報告をする時も、稲盛氏の前には「おしぼりが置かれ、おかしなことを言うと飛んでくる。思わず避けると『避けるな!』と言われる。(笑) それで、まともにくらう。」 しかし、コンパで語ったような思想の持ち主だとわかっているから、「怒られるときは素直に怒られよう」と思って、逃げも隠れもしなかったそうです。そして、「その厳しさや激しさがやっぱり京セラの情熱であり、京セラの強さだった」と語っています。その反面、コンパでの稲盛氏は人たらしな一面もあったようです。ここの会話が“(笑)”になるところが、良好な関係を築けていたことのひとつの証左と見てよいでしょう。
また、山本氏は、稲盛氏に、このような形であれこれ言っていたら周りに嫌われるのではないか?と質問したことがあるそうです。稲盛氏は、人に好かれようと調子のいいことを言ってはいけない。敵は半分いて当たり前で、味方が半分いたら御の字くらいのつもりでやらないと人生を間違うぞ、と諭したそうです。山本氏も「いい子になったらあかんのや、喜んで嫌われようやないか、と。これは稲盛さんの教えやった」と振り返っています。
昨今、“Z世代”について語られる際に「叱られると辞めてしまう」という話もよく出てきます。私も経営層からご相談を頂くようになりました。仕事や労働に対する価値観の変化も出ています。単に収入を得る為と考える方もいれば、自己実現を目指して取り組む方、それぞれです。それによって物事に対する“許容度”も異なり、その中で信念や企業風土を整えていかないといけません。Job型に就労が変化してきた中、プロとしての厳しさを企業も備えつつ、人にやさしい環境を作る……各企業の模索はしばらく続くと思っています。
■理解者や同志を増やす
山本氏は、「自分一人では大したことがない」というのを稲盛さん自身がわかっていることを尊敬する、と語っています。自分と同じ考えのヤツをたくさん育てればいいんだと考える。「これが稲盛さんの哲学」と受け止めています。自分の考えに理解・同調してくれる同志を増やしていく。そうして会社を強くしていく。みんなの力でやるから大きくなる。その同志を増やす為にコンパも会議も活用する。「常にそれをやるのが稲盛さん」と山本氏は述べています。この真価は“リモート”とは違う方向ですね。稲盛氏の経営を語ると、しばしば「損得勘定抜き」、そして「敬天愛人」の哲学を言われますが、ここにもそういう一端を垣間見ることができます。
私も転職を通して、同世代の中では多くの企業で働く機会を持ちました。業界だけでも自動車/自動車部品/化工品/経営コンサルティング/通信サービスを経験し、企業サイズもグローバル大手からベンチャーまで様々です。20年前、私が初めて転職活動をした時、最初に関心を示してくれたのが、この京セラでした。電子製品の事業部門からのお誘いで、新商品のプロジェクト運営:10年というキャリアを見て、「絶対に出来るから大丈夫」と。最終面接を終えて内定の意向は伺ったので、勤め先に退職を申し出るも内定通知が届かず……2週間ほどして「業績問題から採用活動が全て白紙になった模様」という話を人材紹介会社の話で耳にしました。その直後、部門TOPの方からお電話を頂き、背景を詳細に全て説明してくださり、そこで「稲盛さんの一声で全社で中止になった」というお話を聞きました。私が勤務先に退職届を出していることも知っていて、大変丁寧な謝罪を頂きました。また、カリスマ経営者の大きさを感じた瞬間でした。
本当に丁寧な謝罪を頂いたので、私も「ご縁がなかったんですね。ご心配なく。」と答えましたが、こんな経緯もあってか、京セラには良い印象があります。前職では京セラから転職してきた方と働きました。周りの人はちょっと理解しにくかったかもしれませんが、京セラ内部の一端に触れた私には彼の行動様式に“京セラ風”を感じました。それ故、この記事を読んだ時に、京セラの風土、ブレない感じ、そして稲盛氏の人となりの一片を感じて、「何故あの時に嫌な気分にならなかったか」「何故こういう人財に育つのか」ということを改めて理解できた気がしています。
経営者の信念と働き方もまたワークライフバランスです。
より良い企業風土、そして企業文化を醸成していくよう、労使一体で協力していけるとよいですね。
そこが日本企業の強みだったのですから。
(鯨井)
私は音楽鑑賞が趣味ですが、その中で、映画音楽、テレビドラマ、アニメ等で使われる「劇伴」と呼ばれる音楽を若い頃から好んで聴いています。
「劇伴」とは、「劇中伴奏音楽」の略語で、元々、業界用語のようですが、近年は広く使われるようになりつつある言葉だと思います。しかし、一般的には、「サントラ」と言った方が分かりやすい方が多いでしょうね。
さらに、昨年から私の姪っ子がプロの作曲家として、「劇伴」だけでなく、ニュース、バラエティ、CM、サウンドロゴ等の「BGM」音楽にも係り始めたため、彼女の仕事を横目で眺めるうちに、音楽ビジネスにも興味を持つようになりました。
今回は、横目で眺めた「劇伴/BGM」音楽ビジネスの特徴を私の独断と偏見で語ってみたいと思います。
まず、DTMをご存じでしょうか?「打ち込み」とも言ったりしますが。
現在の商業音楽のほとんどは、DTMで曲作りが行われています。DTMとはDesk Top Music(デスクトップミュージック)の略で、パソコンを使用して音楽を作成編集する事の総称で、音楽創作には、以下の通り、有効なツールと言えます。
最近は、素人でも、DTMを駆使することにより、YouTube、TikTok等SNSを介して、プロ並みの品質を持った音楽を提供しています。その中には、オリコンチャートに乗るようなヒット曲を出し、そのままメジャーデビューをするような夢の世界が広がっていること、ご存じの方も多いと思います。
しかし、そのようなプロ並みの性能、品質を実現しているDTMでも、劇伴/BGM音楽については、「DTMで良い音楽を提供すればそれで良い」という話にはならないようです。
劇伴/BGM音楽の顧客は、クライアント(制作会社、プロデューサー、監督等)であり、高い音楽性・芸術性や拘りを持った個性的な方々が相手であるため、主に、次の条件が必要となってくるようです。
このため、劇伴/BGMは、音楽大学、楽器演奏を通じて、高い音楽理論と音楽性を持った方々が、さらに、高いDTM技術を駆使して作品を創っている感じです。そんじょそこらの素人が入り込むことができない、音楽の専門家による「ザ・音楽ビジネス」と言えると思います。
次に、劇伴/BGM音楽には、「リピート」が多いこと、ご存じでしょうか?
ここで言う「リピート」とは、1曲の中で、短いブロック単位のメロディ・リズムを繰り返すことです。J-POPなどの「歌モノ」の場合、「Aメロ→サビ」、もしくは「Aメロ→Bメロ→サビ」、等、言い方を変えると、「起承転結」を考えた構成となっています。しかし、主題歌とエンディングテーマ曲以外の劇伴/BGM曲は、「A→A→A」、「A→B→A」といったように、1つのブロックを多く繰り返す場合が多く存在しています。
1曲の中で、短いブロック単位を繰り返し用いることは、繰り返し同じメロディを聴くことで、聴き手の中にその部分に対する愛着が湧きやすいこと、1曲の中で部分的に取り出して使用しやすいため、映画、テレビ番組等の映像に合わせた選曲において重宝することなどの利点が挙げられます。
この「リピート」効果が十分に発揮された作品として、庵野英明監督「新世紀エヴァンゲリオン」の鷺巣詩郎氏が担当した音楽が挙げられると思います。作戦会議シーンや戦闘関連シーンなどで流れる劇伴音楽は特に有名で、打楽器の「リピート」だけで、場面の厳しい状況、深刻さ、危機感等が伝わってきます。そして、庵野英明監督は、映画「シンゴジラ」でも、同じ劇伴音楽を採用することにより、「リピート」効果を最大限に活用していました。
最後に、最近の劇伴/BGM音楽を含む商業音楽は、一人で作曲されるものではなく、複数以上の作曲家が集まり、曲作りしていること、ご存じですか?
「コライト(Co-Write)」と呼ばれる手法であり、日本では一人で作曲するケースが多いようですが、海外では、「コライト」の方が主流だとの事です。
それでは、マネージメント側が「コライト」を採用した場合の曲作り方法の例を挙げてみます。
この「コライト」で曲作りを行うと、チームを組んで作曲を行うため、一人だけで作曲した時よりも「見える化」が可能になり、マネージメント側が管理し易いという点や一人で曲作りを行う場合より、短納期で、大量の曲が創れるメリットもあるようです。
逆に、チーム編成が上手くいかない場合は、いつまで経っても意見がまとまらず、何の音楽も生み出さない危険性もあります。
実際に、相当な人数をかけて「コライト」での曲作りを行う韓国のBTSが世界でヒット曲を連発している等、成功例が多く出てきているため、ヒット曲が出る可能性が高い手法として、「コライト」が時代の潮流となっているように思えます。
今回、私の趣味・興味で紹介した劇伴/BGM音楽ビジネスですが、ビジネスの中身を掘り下げていくと、劇伴/BGM音楽は、感性と音楽性を主体とした「B to Bビジネス(顧客対象はクライアント)」であり、そして、最近流行りのコライトによる曲づくりは、「プロジェクト管理」が必要になる領域と思います。今後、もう少し情報を集め、分析を深めた段階で、改めて「BtoBビジネス」として、劇伴/BGM音楽を紹介したいと考えています。
(田口)
こんにちは。ワインを語るコラムの第五弾です。
コロナの規制が緩和され、春の陽気と共にパーティーやワイン会などの人が集まる機会が増えてきたのではないでしょうか。その様な場でワインを一口飲んでみて、「これ飲みやすい!」と言ったり、聞いたりしたことはありませんか?
一見褒め言葉のように思えますが、ネガティブな言葉に受け取られることもありますので注意が必要です。
なぜ「飲みやすい」がネガティブなのでしょうか?
その人は今飲んだワインのことを「きっと飲みにくいだろう。でも飲んでみたらそんなことは無く、意外と飲めた」。だから褒め言葉として「飲みやすい」と表現したのでしょう。
でも、この感想はマイナスの先入観がゼロに戻っただけで、プラスにはなっていません。つまり、褒めたことにはなっていないのです。
これが「青汁」の場合ならばどうでしょうか? 青汁は誰もが「苦くて飲みにくい」ものだと思っている飲み物ですし、事実そうでした。でも、最近はメーカーさんの改善が進み、CMやTVショッピングで「飲みやすい」を連呼して、商品アピールをしています。誰もがマイナスの先入観を持っているのがゼロに戻るのなら、「飲みやすい」は褒め言葉になるでしょう。
しかし、ワインの場合は生産する人も提供する人も、最初からマイナスの物だとは思っていません。
例えば、彼女または奥さんが時間と愛情を込めて作った「料理」を食べた感想が、「食べやすい」だったらどうでしょうか? 「もっと他の褒める言葉は無いの?」ときっと喧嘩になりますよね。
同じように、ワインを「飲みやすい」の一言で片づけられてしまうのはちょっと悲しいことです。
では、どう表現すれば良いのか?
気の利いた表現をしてみたいけど、ソムリエの様にかっこよく表現するのは難しいとおっしゃる方も多いでしょう。今回はワイン表現方法の基本をお伝えします。
◆◆ ワイン表現方法の基本 ◆◆
ワインを表現するには、
1.目で「色合い」
2.鼻で「香り」
3.舌で「味わい」
の3つの視点で表現することが基本です。 そして、それぞれに細かい視点があります。
◆1.「色合い」の表現 ◆
色合いとは、ワインの「色調、色の濃淡」、「透明度」、「粘性」のことです。
1-1) 色調、色の濃淡
赤ワインなら赤い、白ワインなら白い、ロゼワインならピンクと言う単純な表現ではなく、どのような色かをもっと詳しく表現します。 例えば、
赤ワインなら
「青紫色っぽい、ルビー色の、オレンジがかった、レンガ色の、褐色がかった、黒みを帯びた濃い」 など
白ワインなら
「クリアーな、緑がかった、レモンの様な淡い黄色の、濃い黄色の、黄金色の、褐色の」 など
ロゼワインなら
「オレンジがかったピンク、サーモンピンク、紫がかったチェリーピンク、赤に近い濃いピンク」 など
です。
これら色調、濃淡の違いは、葡萄品種によって異なり、熟成度合いによっても変化していきます。
1-2) 透明度
「清澄度(せいちょうど)」とも言って、ワインが澄んでいるかどうかです。
「クリスタルな輝き、輝きのある、光沢のある、澄んだ、透明な、クリアーな、濁った、澱がある」 などです。
ワインは透明で澄んでいるのが当たり前で、澄んでいることが素晴らしいワインだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは間違いです。そもそも、葡萄を搾った果汁の段階から発酵、熟成までワインは濁っています。瓶詰めする前に清澄や濾過という工程でその濁りや浮遊物を取り除きます。しかし、その工程では色や香り、旨味なども一緒に取り除かれる可能性もある為、あえてその工程を行わず、濁ったまま出荷するという生産者もいます。
1-3) 粘性
粘性とは、さらさらした液体か、とろりとした液体かを感覚的に見ることです。
「粘性は弱い、やや弱い、中程度、やや強い、強い、脚が認められる、ディスクに厚みがある」 などです。
具体的には、グラスの内側に着いたワインが筋状に流れ落ちる「脚」や、ワインの液面が表面張力によって浮き上がる「ディスク」を見ます。
「脚」の本数が多く、太く、落ちるスピードが遅いほど、「ディスク」が厚いほど「粘性」が高いということであり、アルコール度数の高さ、糖分やグリセリン量などが分かります。これらはワインのまろやかさや豊かさを感じさせる要素であり、飲む前から目で見てある程度推測が出来るのです。
◆2.「香り」の表現 ◆
「香り」の表現は、1)トップノーズ、2)第一アロマ、3)第二アロマ、4)第三アロマの4段階があります。
2-1) トップノーズ
ワインには揮発性の香気成分が含まれており、人はこの香気成分で香りを嗅ぎ分けています。その香りの強さを「トップノーズ」と言い、「穏やか、心地良い、やや強い、強い」 などと表現します。
2-2) 第一アロマ
葡萄そのものが持つ香りを「第一アロマ」と言います。
白ワインなら
「レモン、グレープフルーツ、リンゴ、パイナップル、メロン、モモ、洋ナシ」 など果物に例えられ、「ジャスミン、くちなしなど白い花の香りがする」 など花で例える場合もあります。
赤ワインなら
「バラ、スミレ、アカシア、ライラック」 などの花の香り、
「ユーカリ、ミント、ピーマン」 などの植物の香り、
「カシス、ブルーベリー、ラズベリー、イチジク、イチゴ、サクランボ、バナナ」 などの果物の香り、
「ヨード、石灰、火打石」 などの鉱物系の香りも第一アロマとして表現されます。
2-3) 第二アロマ
発酵や醸造に由来する香りを「第二アロマ」と言います。葡萄果汁が発酵するときの副生物「エステル」によって、「イチゴキャンディーやバナナの甘い香り」、乳酸菌による「チーズやヨーグルトの様な香り」 がすることがあります。
2-4) 第三アロマ(ブーケ)
熟成に由来する香りを「第三アロマ」と言います(ブーケとも言う)。オーク樽で熟成されると酸化の影響で色々な香りが現われます。例えば、
「マッシュルーム、トリュフ、腐葉土、森の下草、杉の木」 などキノコ類や植物の香り、
「バニラ、コショウ、シナモン、アニス、セージ、ローズマリー」 などのスパイス系の香り、
「ブリオッシュ、パン、コーヒー豆」 などのローストの香り、
「ヘーゼルナッツ、アーモンド、ピスタチオ」 などナッツ類の香り、
「なめし皮、じゃ香、生ハム、蜂蜜」 などの動物的な香り
などです。
この様に「香り」の表現とは、身近なものだったり、知っている香りだったりします。難しく考えることはなく、グラスを回して感じた香りを表現してみてください。思い浮かばない時は、「複雑な香り」と表現しても良いかも。
◆3.「味わい」の表現 ◆
味わいは、1)アタック、2)甘味、3)酸味、4)渋味、5)苦味、塩味、6)フレーバー、7)ボディー、8)余韻について表現します。
3-1) アタック
ワインを口に入れた時に最初に感じた印象を「アタック」と言って、口の中でのワインの佇まいや感触を表現します。例えば、「爽やかな、心地良い、瑞々しい、豊かな、インパクトのあるアタック」 などです。
3-2) 甘味
葡萄に含まれる糖分(ブドウ糖、果糖)は、発酵が進むにつれアルコールに分解されて辛口に変化していきます。よって、発酵を止めるタイミングや、元々糖分の高い葡萄品種や収穫時期を遅らせた熟成葡萄の使用によって、ワインの甘味は様々です。
甘さの程度によって「極辛口、辛口、やや辛口、やや甘口、甘口、極甘口」 に分けられますが、程度だけでなくどの様な甘味かも表現します。例えば「柔らかな、ねっとりした、濃厚な、蜜のような、豊かな甘味」 などです。
3-3) 酸味
葡萄に含まれる有機酸(酒石酸、リンゴ酸、クエン酸)による葡萄本来の酸味を「シャープな、爽やかな、生き生きとした酸味」 などと表現されます。
また、発酵中の副生物(酢酸、酪酸、乳酸、コハク酸)によって「旨味のある、まろやかな、柔らかな、デリケートな酸味」 などとも表現されます。
3-4) 渋味
渋味は葡萄の種や皮に含まれるタンニンに因ります。「穏やかな、シルクの様な、ビロードの様な滑らかな、舌がざらつく様な荒々しいタンニン」 などと言われ、味と言うよりも触った感じの表現です。
3-5) 苦味、塩味
絶妙な苦味,塩味のあるワインを「ミネラル感のある味わい、心地良い苦味」 と表現されることがあります。酵母により生成されたコハク酸が主で、他の有機酸とのバランスで塩味のように感じると言われています。葡萄が海に近い場所で育ったから、ワインに塩分が含まれている訳ではないです。
3-6) フレーバー
フレーバーとは口の中に広がる香りのこと。鼻から嗅ぐ香りとはまた違い、口の中から鼻に抜けていく香りのことです。葡萄品種に由来するものや、発酵や熟成中に造られるものがあります。
フレーバーの種類として「フルーティー、フローラル、スパイシー、ヴェジェタル」 などがあり、表現としては「チャーミングな、軽快な、フレッシュな、濃縮した」 などです。
また、フレーバーが「弱い、中程度、はっきりと強い」 などと表現されます。
3-7) ボディー
ボディーとはワインの重みやコクの表現です。「ライトボディー、ミディアムボディー、フルボディー」 と分類され、更に「スリムなボディー、がっしりとしたボディー、グラマラスなボディー」 といった表現もします。
3-8) 余韻
ワインを飲んだ後に残る風味や余韻は、ワインの印象を左右する大切な要素です。余韻の持続性を秒数でイメージして「短めは3~4秒、中程度は5~6秒、やや長めは7~8秒、長めは9秒以上」 です。
余韻として感じる旨味は、主に熟成によってできるグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸であり、「複雑で長い余韻」 とは、旨味があって余韻が長い素晴らしいワインのことです。
以上、ワインの表現方法をお伝えしましたが、如何でしょうか? イメージは掴めそうですか?
一方では、
ワインの専門家は、「濡れた犬の香り」とか「猫のおしっこ」という表現をするということは有名ですが、私はイメージ的には良くないので好きではないです。
また、漫画「神の雫」では、あまりにも抽象的な表現が使われていました。
・「草原を吹き抜ける5月の風のようなワイン」
・「音楽に喩えるならアルトサックスの音かしら。渡辺貞夫さんの吹くスタンダード・ジャズのよう」
・「さながら朝のまどろみに身を任せる女性のような、幸福なひとときを演出してくれるワイン」
・「緊張感はないんだけど、ちょっと負けたくないって張り合いつつ、楽しく探り合っている感じのワイン」
・「最初はちょっと苦くて突っぱねられるような味がして、でもじっくり付き合うとその包容力と優しさに気付くことができる」・・・・等など。
これらは妄想で、ただの言葉遊びだと私は思います。
最後に、
ワインの表現は、「目、鼻、舌」で感じた「色、香り、味わい」の「事実」と、美味しさをイメージ出来る「形容詞」を組み合わせて表現します。
あまり堅苦しく考えずに、まずは今回お伝えしたような表現言葉を頭の隅にでも入れておいて、色・香り・味わいの順番に言葉を引出して、組み合わせて表現してみてください。例えば、「色はやや黒みを帯びたルビー色、粘性も見られる。香りはベリー系の果実感が漂い、樽熟成によるバニラのブーケに、紅茶・ハーブのヒントが織り交ざった複雑なアロマが魅力的。熟した果実のグラマラスなボディーを生き生きとした酸味とシルキーなタンニンが引き締めていてバランスが良い。繊細で上品な仕上がりで余韻も長く、とても美味しかった。」・・・と言うように。
これで、「飲みやすい!」から卒業しましょう。
<参考文献>
・著書「ワインテイスティングの基礎知識」 久保 將 氏
・サッポロビール(株) WINE OPENER 「ワインの味わいを表現する8つの要素とは」
・(株)カクヤス 「ワインを表現する言葉 外観・香り・味わいの3点で美味しさを伝えよう!」
・ソムリエールYURIのちょこっとMEMO 「ワインの表現方法を知ると、ワインをもっと好きになる!」
・たのしいお酒.jp 「ワインの味わいはどう表現する? ポイントと表現方法を知ろう」
(前野)
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