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コラム 『ビジネス未来』
バックナンバー ①  2020/9/23 ~ 2020/12/22

タイトル

#013 2020/12/22   非「グループ一丸」で1兆円

#012 2020/12/15   “大学”の価値の再定義、そして変化

#011 2020/12/8  スペースX 驚異の開発力

#010 2020/11/30   720万人会員と考える「共創=共に創る」

#009 2020/11/23   “他流試合”できる体力をどうつけるか?

#008 2020/11/16 「 技術、伝承の難しさ 」

#007 2020/11/9  新たな仕事をすることになった時の処方箋

#006 2020/11/2  本物の観光、“らしさ”と“新しいスタイル”!

#005 2020/10/26 【よもやま話】 或る歌手のコンサートに見る行動指針項目の有用性

#004 2020/10/19 「売り上げ1兆円減にどう対応するのか」

#003 2020/10/12 「納期遅れはしない。供給責任を果たす。」

#002 2020/10/5  コストで負けないMade in Japan 織物、丸井織物

#001 2020/9/23   【はじめに】 フェアレディZプロトタイプに想うビジネスの在りよう

#013  2020/12/22
非「グループ一丸」で1兆円

~小売りを中心に28社の企業グループ(日経ビジネスNo2071)を読んで~

<画像引用元:ベイシアHP>

単独企業として国内ホームセンター最大手
<引用元:カインズ
HP>

株式公開した上場企業です。
<引用元:ワークマン
HP>

 


アパレルブランドとして開花しました。
<画像引用元:ワークマン
HP>

 

<画像引用元:セーブオンHP>


群馬県発の優良企業グループ「ベイシア」。

グループ28社の売上げは202010月期で初めて1兆円を超えました。MAではなく自前成長路線でここまできました。群馬の土屋家が服地専門店として創業し、その後次々と時代の流れに沿って小売中心に事業を別会社として広げてきました。その中でホールディング会社がある訳でもなく、強い相互出資関係にある訳でもなく、緩やかにつながる兄弟会社の様な関係を保っています。

グループの中核企業は、カインズ(ホームセンター)、ベイシア(ショッピングセンター)、ワークマン(作業服)、セーブオン(コンビニのメガフランチャイズ)でしょうか。皆さんも一度は入ったことのあるチェーン店かもしれません。特にワークマンは最近メディアにも大きく取り上げられ躍進めざましいです。セーブオンは聴き慣れないと思います。ここはローソンのメガフランチャイズで345店舗を運営しています。

それでは、この企業グループの成長の原動力はどこにあるのかをみていきたいと思います。グループの特徴と創業家の位置づけにも焦点を当てたいと思います。

強みを生かす4つの特徴

ホールディング会社がないので、独自に予算を立て、独自に人事を行い、儲ければ独自に投資をすることができます。その一方でグループ会社は相互に必要な情報を交換し、戦略遂行に役立てるとのことです。協力できるところだけ協力し合うという体制です。

 ①  稼いだお金の使い道はそれぞれの会社で決める
 ②  情報はできる限り交換する
 
③  好例は丸ごと採用すること
 ④  自社優先。協力を拒むことも

この様な特徴があると分析されています。

創業家の役割に着目

では、創業家は何をしているのでしょうか。創業家は、グループ企業がおのおのの個別最適を追求する一方で、大方針の決定の旗を振っています。具体的には創業家が大きなビジョンやグループとしての価値観を共有しています。やはりここがよりどころではないでしょうか。創業家を企業グループの企画機能だと見ることもできます。決して大きな組織ではなく、方向性を見せるという立場だと考えられます。また、グループを管理統制するという立場でもないということです。

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創業家(グループの企画機能)の役割:

 ビジョンの提示

 企業グループとしての価値観の提示

 ③具体化のための大方針と創業家からの人材の派遣

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企業グループごとにグループとしての企画機能のあり方は様々だと思います。グループを常に変革していこうという強い思いと同時に、それを事業会社のトップと共有する機能は必要そうです。

ぜひ、自社の業態と言葉に置き換えて考えてみていただければと思います。

(東出)

#012  2020/12/15
“大学”の価値の再定義、そして変化


少子化=人口減少による影響で、経済が縮小してきています。そして、地球温暖化、更にはコロナ禍がそれに拍車をかけているようです。「モノ」の世界はどうでしょう。自動車は日本が得意とする代表的な摺合せ製品ですが、日本の自動車業界は、私の感覚では(90年代前半まで)様々な個性を提供⇒(90年代後半)経済不況による生産規模の縮小⇒(2000年代前半)売れるものだけに絞り込み⇒(2000年代後半)没個性化・各社横並び⇒企業提携⇒(2010年代後半)資本提携……と苦しみ続けた四半世紀と総括することも出来そうです。

そしていま、「電動化」の到来が確実となりました。これは部品数の大幅削減&規格化に繋がり、「組合せ製品」への移行が進むでしょう。既に寡占業界ですから、これがグローバルで進みます。しかし、それは新興勢力や異業種からの参入に繋がります。テスラの存在が示唆しているが如くです。このようなビジネスモデルの将来像を想うと、日本の家電業界がアジア圏に淘汰されていった歴史が蘇ってきます。企画力があった会社、得意技(領域)に絞った会社は何とか生き残り、その他のブランドは消えるか、極端に目にする機会が減りました。これは皆さんの実感もあるところだと思います。

2020年代以降はどうなるでしょう。電動化/電子化/クラウド化による「汎用化の進展」は確実です。すると、その先にあるのは、類似商品・類似サービスによる競争激化。企業が絞り込まれることになるでしょう。企業合併ならまだ良い方で、ブランド消滅や倒産もありえると思います。そんな悪夢も透けて見えてきているのが実状でしょう。

では、「ヒト」の面で見たらどうでしょうか。
こちらも同じような構造になっていて、このコロナによって「電子化」が大きく進んだことで、私には先行きを心配している業界があります。高等教育の分野、すなわち「大学」です。

少子化の中で課題にあったことではありますが、今回のコロナ禍でリモート授業をはじめとした電子化・クラウド化へのインフラ対応が一気に要求され、そのシステム構築や授業運営も試行錯誤しながら進めているように見えます。教育スタイルの“規格化”(画一化)も進んでしまう懸念はあります。その中で生き残るためには、この時代の変化に保有している膨大なアセット:ヒト・モノ(知財)・設備・カネをどう使うかが重要です。大学として、リモート環境の中、キャンパスはどうする? 大学の価値は? そして、学生として、大学生活の価値は?……双方にとって、その価値を再定義する必要に迫られていると思います。このまま何もせずにいると、かつて家電メーカーが、そしていま自動車業界が晒されている危機と同じ轍を踏むことにもなりかねません。過去事例をしっかりと踏まえつつ、その大学の“ブランドならでは”と認識される打ち手が必要になるでしょう。まさに「温故知新」です。より個性的な、専門的な人財が育つよう、大学教育には様々な知恵や工夫をしてもらいたいと思います。社会人向けの教育機会を一層増やすことも重要で、数少ない若者が彼らとのコミュニケーションを通して体験を得て、生活レベルをより高くするチャンスに活かしていく。ここにシナジーを見るのも一例です。如何に外部の情報・生の声を教育に活かすか/取り込むかを一層積極的に考えて頂きたいと思います。私たちもここを応援していきたいと考えています。

教育は全ての基礎です。面白い社会人生活を送るにも、何よりも自分の人生を豊かにするためにも重要なもの。高等教育機関である大学には、この視点からブレずに組織・コンテンツの充実に取り組んでほしいと思います。

(鯨井)

#011  2020/12/8
スペースX 驚異の開発力

画像:スペースX社(by flickr)


以前、国産ジェット旅客機「スペースジェット」の開発が凍結された残念な話をしましたが、今回は米国の脅威の開発力の話です。

米東部時間1115日午後727分(日本時間16日午前927分)、日本人宇宙飛行士野口聡一さんが搭乗する米スペースX社の新型宇宙船「クルードラゴン」が打ち上げに成功し、無事に国際宇宙ステーション(ISS)に到着したことは、報道等で御存じかと思います。スペースX社は、米国の電気自動車で有名なテスラ社の最高経営責任者(CEO)でもあるイーロンマスク氏が設立した会社で、20205月に2人を乗せた新型船の試験飛行に成功した半年後に今回の打ち上げに成功させました。これで、正式運用の段階に入るということです。

 1123日付けの朝日新聞が以下のように伝えています。(引用)
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 野口さんが乗ったクルードラゴンも、昨年4月の試験で爆発もあったが、原因究明と対策を半年で終わらせた。野口さんは「NASAJAXA(宇宙研究開発機構)なら、前例を確認して上司に報告し、会議したり、再発防止策を作ったりして時間がかかるが、スペースXは先にモノを作る。問題が見つかっても次の日には試作品が出来ている。立ち直る力、改善する力がすごい。」と舌を巻く。(中略) こうした急成長の背景には、民間企業の育成と振興を強く後押ししてきたNASAの方針もあった。民間に技術を提供して、開発を任せ、NASAは安全確認などに集中した。
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ここには記しきれない記事全文から、驚異の開発力の要因として、

  1. スペースXは、もともとのNASAの技術チームを引き抜き、開発を任せたこと。
  2. 大型化や高出力化ではなく、小さなエンジンを多数使う設計にしたこと。
  3. NASA自身は、民間に技術を提供し開発を任せ、安全確認などに集中したこと。

が読み取れるのですが、今回注目したいのは3番目、組織構造と機能役割分担です。

一般的に企業の組織構造の代表例は以下です。

 1)機能別組織
 2)事業部制組織
 3)カンパニー組織
 4)マトリクス組織
 5)チーム制組織
 6)ネットワーク組織

この中で、「カンパニー制」は組織の独立性を高めた組織です。その主なメリットは、次のように言われています。

 ① 意思決定と実行の迅速化
 ② リソースの効率的な配分
 ③ 組織の活性化

一方、デメリットは

 A)独立性が強すぎ、全社の統一性が薄れる
 B)カンパニー間の壁が出来、会社全体での人事、技術、情報等の活用が難しくなる。

等が言われています。
このデメリットにより、カンパニー制を採用した企業が事業部制等に戻す例もあります。

さて、今回のNASAのケースは、カンパニー制あるいは分社化からさらに独立性を進め、民間企業へ資源を移し、完全な組織、機能、役割の分担を図っています。

これにより、メリットである、スピード、各々の専門分野へのリソース配分、組織の活性化による開発力の発揮を享受しつつ、同じ会社の場合に生じうる上記のデメリットを排しています。出来るだけ技術を囲い込みたい、あるいは、自組織で完結することによる効率化、総合的な技術力向上を図りたいとの考えが一方に存在する中、このNASAの方針は、大きな決断、勇気のいる決断だったでしょう。その結果、同じリソースでも、組織の在り方次第で、そのアウトプットが大きく異なるという、ひとつの大きな「実績」に結び付いたと思います。

みなさん、一度立ち止まって、ご自身の事業の組織構造を振り返ってみませんか。
時代の大きな変化に合わせて、見直すことも有りかと思います。

H

#010  2020/11/30
720万人会員と考える「共創=共に創る」
~コロナが問う企業哲学(日経ビジネスNo2068)を読んで~

現在のコーポレートカラーは赤ではない。
<画像引用元:
丸井グループHP>


みなさん

「丸井グループ」と聞いて、割賦百貨店、家具屋、駅のそば、クレジットカード、赤いカード、チェーンストア、マルコとマルオ、フィンテック(金融とビッグデータ活用の融合)等々…さて、どんなイメージをお持ちでしょうか。

丸井グループの創業は家具の割賦販売百貨店で、日本で初めてクレジットカードを発行した会社でもあります。そして今、コロナの時代に入っては、720万人の会員と「共創する」という経営の中核となる考え方を軸に前進しようとしています。

緊急事態宣言の影響で丸井グループも2ヶ月間全店舗が営業できない状況となりました。丸井グループはテナントから家賃をいただく不動産型モデルで経営しています。従って、粗利から何%いただくという形ではないので、契約上は収入の確保はできます。しかし、丸井グループはこの2ヶ月間の家賃を全額免除しました。では、何故これができたのでしょうか。

企業哲学3つの視点:E S Gとステークホルダーと中核となる考え方

E S GE環境・S社会・G企業統治)という企業の財務諸表に表れない長期的成長視点の重要性が投資家の投資判断に影響を持つようになってきました。さらに丸井グループは6つのステークホルダーを考えています。お客様、株主・投資家、お取引様、地域・社会、社員、将来世代の6つです。これに中核となる考え方の「共創」が加わります。その結果、テナントのお客様に売り上げがなくて困っているときに、いくら契約とは言え、丸井グループは収益があるというのはフェアではない、という考えに至って全額免除としたということです。この話の先には、投資家は丸井グループには長期的な成長理由があるとして投資を継続するということです。もちろん、お取引様ともWin-inです。これら3つの視点が今後の企業哲学には求められているのではないでしょうか。

720万人会員のお客様と共創する

さらにお客様との「共創」事例です。丸井グループのクレジットカードのゴールドカードは年会費無料です。金融機関ではないのでここで儲ける必要がないからです。720万人会員の声をよく聞いて、要望のある商品やサービスを次々にラインアップしていきます。その決済をクレジットカードで行うことで収益を上げていきます。具体例として「みんなの電気」との協業があります。会員の要望で自らの事業でニーズに応えられなければ、事業を連携して商品に加えていくという方法です。これはE S Gにも合致しますし、720万人会員の方々と共に成長する戦略と言えるのではないでしょうか。

企業によって、言葉や内容は変わってくると思います。
ぜひ、自社の業態と言葉に置き換えて考えてみていただければと思います。

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新しい企業哲学3つの視点:

  • E S Gの理解とマネジメントの判断への組み込み
  • ステークホルダーの再認識・再定義とよくニーズを聞く
  • 中核となる考え方を企業として再認識・再定義する

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企業によって、言葉や内容は変わってくると思います。
ぜひ、自社の業態と言葉に置き換えて考えてみていただければと思います。

(東出)

#009  2020/11/23

“他流試合”できる体力をどうつけるか?
トヨタ、技術系新卒の大学推薦全廃2020/11/20読売新聞を読んで~


先週金曜日の朝、読売新聞に『トヨタ、技術系新卒の大学推薦全廃…幅広い専門を持つ人材募集』という記事が載りました。私は驚きをもって受け止めました。“全廃”に驚いたのではなく、むしろ逆で、“やめていなかった”ことに驚きました。
ご承知の通り、トヨタ自動車は学生の就職先人気ランキングの上位常連企業です。採用を行なうと発表すれば、自分たちから声掛けせずとも志望者がやってくるような会社です。しかし、この記事には、『トヨタ関係者が「学生から選んでもらえる企業になるための変更」と話している』とありました。これはトヨタの中で何かが起きていることを暗示します。

■アジャイルと系列

100年の歴史を持つ自動車業界も、テスラのようなベンチャー系・スタートアップ企業が「市場価値」でトヨタと拮抗するような事態が起きています。ビジネススタイルに新しいアプローチがあることを世論が評価したことによるものです。製品はもちろん、「アジャイル開発*」に代表される「実現スピード」も特筆すべきでしょう。

自動車会社は、「本来なら製品・構成部品を端から端まで自社で全て作りたい」という思考が組織構成に見られます。歴史を振り返っても、そういう組織から「系列」と言われるグループを作ってきた訳です。トヨタはそれが顕著です。「ユニット」と呼ばれる主要部品は、関連会社と併行して自社内でも開発・製造し、知見を内部に蓄積させる政策を採ってきました。関連会社にトヨタ流を導入させながら相手以上に高品質を実現することで“会社間の力学”を維持してきました。しかし、現在ではトヨタ本体よりも高い業務品質を実現する関連会社もいます。デンソーやアイシンがその典型で、トヨタに対して自己主張を確実に強めてきました。ただ、これまでと同じやり方では、正しいけれど、遅い。ベンチャーにもしっかり対応・対抗できるような、既存の延長線上の活動ではないビジネスアプローチを求められ、まさに「イノベーション」が必要になったわけです。

これからの製造業は「サービスを軸としたビジネス」への取組みが重要

ビジネスの姿が「物売り」から『使い方』すなわちシステムやサービスへ変わってきたことが顕著に感じられる中、CASE**やMaaS⁂といった新しい概念に商品・製品、ひいてはモノづくりをあわせる必要が急速に発生しました。トヨタは、自動車を取り巻く市場やビジネス環境の変化に対して、『この指、とまれ!』のスタイルへの転換の必要性を企業TOPが強く認識しました。静岡県裾野市に作るスマートシティー:「ウーブン・シティ」(Woven City)と呼ぶ実験都市プロジェクトは、まさに“協業”や“共創”という思想で、企業が持つ様々な資産を有効に使えるようにする為のアクションです。この概念の元では、NTTとの提携は、ある意味で必然です。

そして、トップビジネスだけでない、ボトムでの取組み……それが、この新卒採用方法の変更という言い方ができるでしょう。トヨタの人材採用のスタイルは、予てから「新卒で採用した人間はゼネラリスト(総合職)として育て、中途採用は専門職として採る」でした。これは今も変わらないと思います。今回は「新規事業分野の開拓」の為に採用スタイルを刷新することにした訳です。それが、自動車関連以外の技術や知識を持つ幅広い人材を採用して、ビジネスの競争力を高めていきたい、ということなのです。

“他流試合”の必要性

こうした世界的な潮流の変化の中で新規事業を立ち上げる為には、“選択と集中”を行なったうえで、周辺知識や人間関係の再構築が必要です。そして、それを得るには「他流試合」もまた不可欠です。従来なかった取引先である「異業種」の方々に自らの常識が通る訳はなく、パートナー業界の持つ“相手流”を認識・尊重しないとコミュニケーションが成り立ちません。これを得るために「他流試合」をすることになるのです。

しかし、その知見は内部には当然ありません。先日、あるセミナーにパネラーで参加したデンソー社員が断言していたのですが、対談相手の『ビジネスをデザインする人材育成に困っている。若手を中心に育てなくてはならないが、リードしてくれる人材がいない。デンソーはどうされているのか?』という趣旨の質問に対して、『部品メーカーなので、新しいイノベーションを起こそうという人材はいない。まずは経験者を中途採用し、かつ社内に活動を告知していく。そのうえで社内公募。これで“やりたいこと”に共感した人に集まってもらった。それに協業先。組織の大半は社外からの人です。』と答えていました。この知見の獲得&習得方法もひとつの解です。ただ、一歩引いてみれば、何年も前から関連会社はこの変化に備えていた訳です。今回のトヨタの取組みは、関心・知識のある若手を最初から集めて、一定のベクトルを定めた状態を作って、一気にキャッチアップしていく戦略にも見えます。中途採用と協業先は準備に難しくない故の、大資本の大企業だからこそ出来る“力技”です。

“他流試合”の向こう

他流試合をしていかないと社内に「目利き」も育ちません。トヨタが本当に欲しいのはこの人材でしょう。しかし、外から連れてくるばかりでは生え抜きは腐るし、“社外出身者ばかりの組織”は孤立しやすい。ここが難しい。今回のトヨタの判断は「多様な人材が不可欠で、社内の意識改革にもつながるという期待を持って」のことですが、意識を改革しても「試合の仕方」=異業種や他社との働き方、少なくとも「見極め方」=知識と判断基準を身に着けることが最優先ではないかと思います。それがないと、新人を“新しいトヨタ流”に育てることもままならないはずです。正直、出遅れ感のあるトヨタ本体ですが、ここをどう変革していくのか注目していきたいと思います。

私たちは教育・研修分野で“他流試合”の重要性を説いていきます。その重要性を感じて頂いた時にこそ、ベテラン勢の持つ知見を中堅・若手への引き継ぐ機会、そしてステークホルダーとの協業にあたっての知識獲得の機会として、是非私たちを活用して頂きたいと思っています。

ビジネスの姿が「物売り」から「使い方」へ、即ちシステムやサービスへ変わってきて久しいです。
コロナ禍により社会の変革スピードは一層速くなり、大企業でもビジネスや事業構造を見直す取組みをやらなければ、いつ“退場”させられても不思議はありません。

みなさんの会社は、新しいビジネスを作り出す“知力”・“体力”を養っていますか。
“時の運”に頼ることだけはないようにしましょうね。

(鯨井)

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【注釈】<用語>
 *アジャイル開発
  2000年代に誕生し、現在は開発手法の主流。開発期間の単位に反復 (イテレーション) と呼ばれる
  短い単位を採用することで、俊敏な開発を行ない、リスクを最小化しようとするやり方。

 **CASE
  ダイムラー:ツェッチェCEOが2016年に発表した中長期戦略の中で提唱した今後の4つのトレンド
  を表現する造語。「自動車メーカーが製造だけにとどまらず、モビリティのサービスプロバイダへ
  と変わる」という戦略を意味しています。
    C
onnected:コネクティッド化  Autonomous:自動運転化
    
Shared/Service:シェア/サービス化  Electric:電動化

 ⁂MaaS
  「Mobility as a Service」(モビリティはサービスと同じ)の略語。 “移動”すること自体をサービス
  として捉えるという考え方。
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#008  2020/11/16
「 技術、伝承の難しさ 」
~開発の力が落ちていないか(2020/11/4日本経済新聞朝刊)を読んで~

みなさん

YS11以来、半世紀ぶりの国産旅客機、かつ国産初のジェット旅客機である「三菱スペースジェット(MSJ)」の事業化が事実上凍結されました。

11月4日付けの日本経済新聞朝刊で、以下のように伝えています。(引用)
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三菱重工業は国産ジェット旅客機「スペースジェット」の開発を事実上凍結する。2008年の着手以来、約1兆円を投じながら納入延期を繰り返してきた。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた。
航空機は100万点単位の部品を使い、関連する産業の裾野も広い。産業振興や技術伝承の点からも開発に挑む意義は大きい。それを成し遂げる前に凍結に至った事態を重く受け止める必要がある。
スペースジェットは約半世紀ぶりの旅客機開発だ。当初13年の納入を予定したが、商業飛行に必要な航空当局からの認証の取得作業で大幅な設計変更を求められるなど納入期限を6回先送りした。
三菱重工の泉沢清次社長は記者会見で「開発活動はいったん立ち止まる」と述べた。認証取得の作業は続けるが、飛行試験などは見合わせる。

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学生時代に航空に触れていた者としては、今回の発表は大変残念に受け止めています。
また、私自身も調達業務に携わっていた時、新技術を搭載した商品の量産準備直前で、突然の会社方針変更により量産中止となり、取引先に頭を下げてまわった経験があります。今まさに、本件に関係する方々は、今後の対応で大変なご苦労をされておられると認識しています。

このような大きな新規プロジェクトでは、量産までの長い開発期間の間に、自らではマネージしようがない環境変化が起き、途中で止む無く中断せざるを得ないことが少なからずあり得ます。

では、そのような時にどうすべきなのか……
 

まず、今回の要因として、いろいろなことが報道でも伝えられています。

  • YS11以来、技能が途絶えてしまっていた開発力の問題
     - 航空機造りの現場や審査機能の経験、知見不足 -
  • プロジェクトマネジメントの問題
    経験しないと育たないプロジェクトマネジメント力の不足 -
  • 自社の技術力にこだわり、社外ノウハウの活用不足

​等々……本質的な要因は、事実を知っている当事者でないとわかりません。

しかし、このような事象を経験されておられる方であれば、「やるべきこと」として考えるのは、以下の3点でしょう。

1)振り返り
2)基準書・標準書の作成
3)開発やプロジェクトマネジメントも含めた、技術や経験の伝承

これらを実行するにはひとつひとつ深いものがありますが、私自身の経験で各々最も印象に残っていることを挙げてみます。

 1)振り返り:当事者だけの振り返りではなく、「第三者」に必ず入ってもらう 

自身の振り返り経験で言えば、TOPの指示により、品質保証部署の「不具合対応の専門家」が参加しました。いわゆる、“原因究明のプロ”です。何回も何回も答えに窮する問いかけが続き、その結果、当事者だけでは気が付かなかった要因を浮かび上がらせたのです。

 2)基準書・標準書の作成:基準書や標準書だけでなく、いわゆる「活動の手引き」を残す

いろいろな基準書・標準書を見てきましたが、記憶に強く残っているのは、ある苦労したプロジェクトが終了した後に、メンバーが作成した「手順書」です。
それは、当事者たちが、
・当該案件の具体的な活動経緯や手順
・振り返りで出てきた反省点や改善ポイント
を、自ら話しているかのように「口語調で記述した読みやすい手引き」でした。
いわゆる“コツ”を示したものです。

 3)開発やプロジェクトマネジメントも含めた、技術・経験の伝承

 しかし、手引きを作ったとしても、それでも難しいのが技術・経験の伝承ですね。私が経験した自動車産業の場合は、次々とプロジェクトが続くので、経験者が社内に残っている間に伝承が為されていくのですが、今回のように、プロジェクト単位で長い期間が空くような製品では、組織や人材の維持が難しく、結果、伝承が大変難しい問題となってきます。

これを考えるとき、弊社代表がメッセージで伝えているように、以下の思いはこの問題解決に対するひとつの方向性ではないでしょうか。

『会社は定年延長も含めて雇用を維持する努力はしていますが、組織の新陳代謝も図る必要もあります。しかし、この方々の持つ知識や経験は「宝」です。この貴重な知見が「時代に合った転写や伝承」もなされずに、まさに“雲散霧消”してしまう方向にこの国全体が向かっています。

皆さまの会社がビジネスで描く夢や希望、各々の環境で抱えている困り事は様々です。私はこの「宝」、即ち「高い専門性に裏付けられた知識と経験を持ち、複数の業種・業界・企業規模を経験している方々」を皆様のビジネス実現の為にシェアできるようにしたいと考えました。不足する実務知識や若年層の業務スキルの習得・向上は元より、ビジネスの円滑かつ確実な実現の為に我々の知見を大いに活用頂きたいのです。』 

今、新型コロナ渦の中で、より新たな企画、プロジェクトが立ち上がってきています。
限られた社内のリソースでは限界があると感じられたときは、是非、世の中にある、多くの貴重な知識や経験を活用することを考えてみませんか。

私たちも、その時には、協働・お手伝いをさせて頂きたいと思います。

H

#007  2020/11/9
新たな仕事をすることになった時の処方箋
~およそ30年に10社で勤務した経験から~

今月から「退職金」の特別運用サービスを商品化した大手銀行。このキャッチコピーを見ても、コロナ禍のリストラや早期退職制度の急激な採用と無縁ではないだろう。

■皆さんの心配事

今回のコロナ禍において解雇や早期退職を行なう企業が増えています。緊急事態宣言の出た春にサービス業を中心に行なわれたのを最初のピークに、秋に入ってからは上場大手企業からも同様の発表が続き、加速度的な動きになってきています。売上減少が既にあり、また今後も続くという見通しの中で、会社側は「労働力の適正化」などの名目で人員削減を図りますが、この様相は当面続くと思われます。反対に、IT関連をはじめとした“新しい日常”への適合に必要な分野では求人が活発に行われています。

働く側からすれば、「労働力が一層流動的になった」、つまり「新たな組織に移って、新しい仕事をしなければならない人が大量に出た」ということで、老若男女を問わず、自分に合った働き口を探す必要が出てきました。しかし、生活不安に直結するだけに、やはり会社・仕事を変わることには心配がついて回ります。

今回は、こんな心配に対する不安を取り除く一助となればと思い、私が数々の企業・職場を通して実感してきたことをお話ししたいと思います。

■年齢は関係ない。その年齢に応じて思考は自然と対応する。

貴方が新しい仕事に移った時。最初は右も左もわからない状態が“普通”です。もし既にその組織や仕事の知識があったら、まず「ラッキー!」と思ってよいでしょう。ですから、最初は“真っ白な状態”で構いません。

さて、ここからです。

最初に心がけてほしいのは、その会社や職場、そして業務の「ルール」を確認しましょう。
いきなり頭で全部覚えるのは不可能ですから、それはせず。どんなルールが、どこにあるかを確認しましょう。

次に、新参者には必ず“指導役”が付くと思います。この人が指示する「作業」をしっかり「ルール」や「お手本」を見ながらやっていきましょう。まずは、その個々の仕事知識を増やす作業に丹念に取り組みます。この作業は大なり小なりずっと続くので、ルールやお手本を見ることを気にかける必要はありません。もちろん年代によって理解のスピードは異なるかもしれません。20代・30代の若い人は、まだ専門性を磨く時期なので、新たな組織・仕事に触れるとどんどん吸収できます。要領の悪さや逆に調子に乗ったりで上司から怒られたりもするでしょうが、その仕事単体への適応力はベテラン世代よりも明らかに早いでしょう。
しかし、ベテラン世代が全てネガティブなわけではありません。一見遅いのは、「いろいろな知識がある」為に様々な状況を考えて、「失敗を未然に防ごう」という効率的な思考や動きを経験的にしようとするからです。聞くところによると、人間の脳は「脳科学的に、年齢を経るごとに“記憶力”のような瞬発力が要求される能力は落ちていくが、逆に複雑なことを考える能力が長けてくる」のだそうです。つまり、覚えてしまえば、物事を分解したり組合せたりする“応用”を自然と上手に出来るようになっていくのです。若い頃にはなかった特性として。ベテランの方は思い当たることが多いと思いますが、「身体を動かしている人は仕事をしているように見える」のですが、実際は成果があまり出ていないことは職場でよく見かける光景です。反面、席に座ってばかりの人でも、淡々と・黙々とビジネスに効果的なものを産み出す人もいます。もちろん、顧客リレーションひとつ取っても“机から電話1本”(言葉が悪いですが)で簡単に実現させてしまう人もいます。
ですから、どんな年齢であっても、その年齢に応じた「仕事のスタイル」、いわんや「頭の使い方」があるので、適応スタイルを不安に感じることはやめて、自らのキャリアや意欲を適応していくことの方が大事だと思います。

■“点”から“線”、そして、“面”へ……自立へのプロセス

ここまでで皆さんの最初の心配が一旦解けたとして、次は「具体的に何をどんな形でやれば良いか?」ということを、自分の仕事での経験も含めてお話ししたいと思います。

私は製造業、それも工場スタッフとしてのキャリアが長いのですが、工場では現場技能員の管理職への昇格プロセスの一環でリーダー層が技術者としてスタッフ部門に有期で異動してくることがよくありました。その方々もよく「モノ作りで入社したから、書類仕事ってプレッシャーなんだよね…」と、“新しい仕事”への不安をよく口にされていました。当時は職場に必ずあった“タバコ部屋”で休憩しながら、そんなお話を聞いた時、私は必ずこう答えていました。

『今度の仕事を仮に“真っ白なキャンバス”だとしたら、知識や経験ってそこに描かれる“点”だと思います。最初は個別の仕事をこなすだけでも、それは1つの点(知識)になります。類似の事例は「点が大きくなった」と理解すればOK。「より他の点と結びつきやすくなった」とポジティブに考えれば良いのです。それだけでも“安心材料”になります。これを続けていくと、白いキャンバスが様々な点でいっぱいになってきて、ある日、点と点が「勝手に」結びついて“線”になり、線と線が結びついて“面”になる。気が付いたら“囲まれた領域”はもうちゃんと理解している。それを繰り返せばキャンバスも全部塗りつぶされますよ。ましてや、今度する仕事の“受け手”だった訳だから、相手側の仕事は理解していることだし。その知識と結びつくから心配しなくても出来るし、すぐに慣れますよ。』
このような例え話ではありましたが、話した方の共感は得られました。

■3日~3週間~3ヶ月……「まず、“点”を増やそう。」

実際どのくらい繰り返せばよいかには個人差はあります。私は「3」が1つのポイントと思います。
毎日する仕事なら3日。週イチなら3週間。月イチなら3ヶ月。半期に一度なら1年半。年に一度なら3年…といった具合で、だいたい3回やるとひとまず自分だけでこなせるようになるというのが私の見立てです。かかっても「5」でしょうか。この経験数になると、人によって応用(改善提案)まですると感じています。それ故、ひとつひとつの作業を「仕事の知識や経験の“点”」と捉えて、まずはそれをたくさん増やすことを皆さんにお薦めしたいのです。この作業には年齢も性別も関係ありませんから。

私は異業種転職で大手SI企業でも働きました。前述の考え方を既に持っていたので、慌てることや変なプレッシャーを自分でかけることなく、移っていくことが出来ました。その企業では「若手社員への教育」での貢献も期待された為、このお話を「自分の成長の為」と、仕事では「お客様とのコミュニケーション」の時に使うようにアドバイスしていました。この考え方は割と普遍性を帯びているのかもしれません。もちろん、起業した今も同じ考えです。

実は今回のコラム。自分の個人ブログのコンテンツとして連載を考えていたテーマをダイジェストにして書いてみました。なぜ今このタイミングで書いたのか……コロナ禍による経済ダメージで、意外な大企業も大型リストラに急着手しており、大変深刻な事態と受け止めています。これは新卒から嘱託OB層までの全年齢が晒された環境変化です。この大波に溺れない為の“浮き輪代わり”になればと思い、今回書きました。
皆さんの“心の処方箋”になれば幸いです。

(鯨井)

#006  2020/11/2

本物の観光、“らしさ”と“新しいスタイル”!

~京都、コロナ禍を転機に本物の観光を作り直す(日経ビジネスNo2064を読んで~


みなさん

観光都市京都、修学旅行に始まり、その後も何度となく訪れた方も多いのではないでしょうか。コロナ以前では海外からのお客様の増加により、観光客が多すぎることによる弊害すら言われるようになっていました。そしてコロナ禍です。京都はコロナを奇貨と捉えようとしています。つまりコロナを“利用すれば思わぬ利益を得られそうな機会”と捉えようということです。今、どのような変化が起きているのでしょうか。

■“らしさ”+“新しいスタイル”で奇貨とする

可能性を見せ始めている3つのヒント

①    原点回帰と新しいスタイル

②    体験価値の提供

③    “作り手”と“商品”のブランドストーリー

 具体的にみていきましょう。

■原点回帰と新しいスタイル

〇〇細工など特別な伝統工芸品を扱っている店舗も、今まではお土産になるような小物などを前面に出して店頭販売をしていました。もうお土産屋さん状態です。今、改めて○○細工の魅力を伝えるように付加価値の高いお店作りに転換していこうとしています。心から自信を持った製品を目立つところに置くようにしてきちんと魅力を説明してゆく。まさに原点回帰です。さらに新しいスタイルとして、デザインにディズニーキャラクターを取り入れたものを発表している店舗もあります。

体験価値の提供

魅力をきちんと伝えるためにはその地域に長く居てもらう必要があります。座禅体験や◯○細工の作業工程見学会、今まで非公開であったところを可能な限りみてもらって魅力を伝えるようにしてゆく試みです。旅館では地域の伝統・文化の説明会を開催することも始めています。店舗や旅館の人たちが積極的に皆でその地域の今の魅力を語って訪問者に長く居てもらう工夫をしようというものです。

“作り手”と“商品”のブランドストーリー

さらに作り手の人柄や仕事への情熱を語ってもらい、商品の説明も工程での知恵と工夫も語ってもらっているようです。お客様はストーリーを聞きたいのです、そのストーリーが旅の思い出となり商品の価値をあげます。さらに人から人に旅の思い出や感じ取ったリアルな言葉で友人知人に語り繋がれてゆきます。まさに口コミは最大の宣伝です。今は、これらが動画となってS N Sに乗ってさらに拡ってゆきます。

 是非、みなさんの地域でも、また商品・サービスにも活かせるのではないでしょうか。

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 観光の新しい可能性のための考え方:

  • 原点回帰と新しいスタイル
  • 体験価値の提供
  • “作り手”と“商品”のブランドストーリー

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今までもこのような取り組みはありました。
もう一度、地域全体がこの進め方を理解して、同じ方向性で考えて行動するための機会にしてみてはどうでしょうか。

 (東出)

#005 2020/10/26 【よもやま話】
或る歌手のコンサートに見る行動指針項目の有用性

 
今日は「世の中の満足事例」をご紹介

コラム開始から固い話題が続いていて……という読者からの声も届きましたので、今日は柔らかめで。

数年前の6月にあった或る女性シンガーソングライターの公演でのお話です。
いきさつや当日の様子を思い返すと、「企業で行動指針として挙がる項目」に随所で符合することに気付きました。今回の対象項目は次の8つ。①達成志向、②革新力、③収益志向、④リーダーシップ、⑤多様性、⑥チームワーク、⑦自律・自立、⑧競争力、です。

この女性歌手は所謂「ヒット曲」は持っていません。“売れなければ即退場”となる厳しい芸能界ですが、45年を超えるキャリアを築いています。しかも現在も毎年ホールツアーを行ない、新しい作品を出し続けることが出来ています。これを「ヒット商品なし」で実現しています。なぜ実現できているのでしょう。そこを考察してみましょう。

彼女のコンサートは基本構成が決まっています。歌は16~17曲、途中に4曲のリクエストコーナー(②革新的)があり、2部構成で約2時間半。特徴と言えば「アンケート用紙が毎回配られる」という点です。編成もご本人・音響技術・照明・マネージャー・フロアスタッフと小所帯です。

このコンサートに向けた準備は、こんな「提案」から始まりました。

春4月のコンサート。彼女から“困っていること”が伝えられました。
『長いキャリアになって、昔から来てくださる方から今回初めてコンサートに来た方まで、世代も嗜好も幅広く、多くの方に満足して頂く為の選曲が難しい。そこで次回6月のコンサートの選曲は皆さんと一緒に考えてみたいと思います。「こんなテーマでこんな選曲は?」というのがあれば、今日のアンケートの隅に書いてくれませんか?』
というものでした。 (①達成志向、⑧競争力強化)

6月のコンサート当日。想定外の出来事が発生します。開演2時間前、最寄り駅を走る鉄道で人身事故。30分程度で運行は再開したものの、大きくダイヤが乱れます。そこに梅雨の大雨。いつもはしっかり定時に始まるコンサートも“あうんの呼吸”で開演時間を調整します。そんな時です。私の前列に女子高生とお母さんが着席。断片的に耳に届く会話から娘さんは「初参加」らしく、歌手のことは詳しく知らないけれど今日をとても楽しみにしていたようでした。既にその手にはロビーで即売していたベスト盤がありました。

10分遅れでコンサートがスタート。

冒頭、彼女は 『初めて来た方は緊張しなくてよいので、テレビでも見ているつもりでノンビリしてくださいね』 と、予備知識の少ない初心者にも丁寧な対応をします。そして、ここで企画の種明かし。今日の選曲が実は4月のコンサートで募集した内容であることを話します。

その後も1曲終わる度に、遅れて到着したお客さんが入場してくる落ち着かない状況が続くものの、彼女はステージ上から 『ようこそ、いらっしゃいました。ここまで来るの、大変だったよね。』 と、その都度コミュニケーションを取りながらコンサートは進みます。(⑤多様性)

その後の「リクエストコーナー」は、ジャンケンで勝った4人が6百曲はある持ち歌から聞きたい曲をリクエストできるという仕組みなのですが、ここで“2つの小さなハプニング”が起こります。

1人目の勝者は70代のおばあちゃん。まさに今回のテーマの通り、初参加の女子高生からご年配の方までという幅広い年齢層に応えなくてはならない大変さが眼の前に展開します。そこは怯まずしっかりご要望に応えます。そして、最後の4人目の勝者は「ピアノ演奏の難易度の差」で2仕様ある曲をリクエスト。彼女はお客さまに尋ねます。

  『(弾くのが難しい)Eフラットマイナーと、Dフラットのどちらを?』

お客さまは 『難しい方で!』 と少々イジワルなお答え。彼女は若干凹みつつも 『ヨシッ、頑張るぞ!』 と言いながら演奏に入ります。(①達成志向、⑤多様性) チームの面々にはステージ上から演出の前提条件が提示されます。

  『1曲目は、時間は朝。エコーは少なめ。2曲目は、夕方。これはエコー多めで……』

と4曲分の前提を提示してピアノに向かいます。(④リーダーシップ、⑥チームワーク、⑦自律・自立) そこはそれぞれのプロ。この“条件”に基づいてスタッフが考えた演出結果(②革新力、⑦自律・自立、⑧競争力強化)が彼女の演奏と共に表現されていきました。

ここで第1部が終了。前列の女子高生はとても楽しそうにロビーへ走ります。しばらくすると戻ってきて、母親と『買ったCDを帰ったら早く聴かなきゃ』と話しています。

観客が完全に出揃った第2部は、スタッフが確認した最新の電車運行状況の連絡からスタート。(⑥チームワーク) 演奏も滞りなく進み、予定通りのアンコールを含めた17曲で終演を迎えます。観客は拍手喝采で見送り、館内放送が終了を告げますが、実はここからお客さんの「お得感が増す出来事」が始まります。帰るお客さんもいる中、まだ止まない拍手に導かれてご本人が再々登場。

  『コンサートは先ほどのでお終い。これは“おまけ”。』

と言って、コンサートの雰囲気に合わせて1曲唄うのでした。(③収益志向) これで観客はコストパフォーマンスに一層の満足を抱いて家に帰っていく訳です。本当の終了後、例の女子高生がアンケート用紙に一生懸命書いている光景が、その満足を象徴しているようでした。

……如何でしたか。よく言われる行動指針項目を随所で実現していることを感じて頂けたでしょうか。この積重ねで彼女は固定客(既存顧客)の満足と、新たな支持層(新規顧客)の獲得を実現しています。それも意図ではなく、長年の経験から作り上げられたものです。つまり、それだけ普遍性があるテーマが行動指針の項目には掲げられているということですよね。

さて、こういった「満足」を提供した結果が、それぞれのどんな「成果」に繋がったでしょうか?
初めてコンサートに来た女子高生〔お試しのお客様〕は、即売しているアルバム〔既存商品〕を購入したリスナー〔新規顧客〕となり、次のコンサート〔新たな提案&コミュニケーションの機会〕を楽しみに待つことに。唄った彼女は、ソングライター〔開発&生産者〕として他の歌手〔OEM〕へ新たに3曲を提供〔部品販売〕し、自らは次のコンサート〔顧客の声:VOCを直接聞く機会〕が企画され、新譜を発売〔新商品の提案〕の機会も得ました。そして、ファン〔既存顧客〕は新譜〔新商品の提案〕を期待して楽しみに待つ訳です。“満足”の循環するビジネスモデルが描けています。

こういう切り口で見れば、皆さんの会社で掲げられる行動指針や行動基準も、そのお題目を愚直に実現することは必ず良い結果に繋がっていくと、身近に感じることが出来るかもしれません。

(※本記事は、以前寄稿したものを当コラム用に再編集したものです。)

(鯨井

#004  2020/10/19
「売り上げ1兆円減にどう対応するのか」
~コスト削減では追いつかない(日経ビジネスNo2062)を読んで~

みなさん

コロナの時代の影響で働き方改革が一気に進むことになりました。
コロナの時代となって、通勤も少なくなり、社内はもちろんお客様との打ち合わせもWEB会議、学校もオンライン授業という様子です。しかも、働き方改革が同時進行で一気に進むでしょうから、コロナ禍が過ぎても、鉄道会社の乗客が今までのように戻ってくることは考えられません。すでに大手の会社では、通勤手当を廃止して通勤時には実費を支払うという方式に切り替えたところも出てきているようです。

​​■鉄道会社の苦境と光

JR東日本を見てみると、今回のコロナの影響で1兆円の減収が予想されています。経費削減1,500億円を見込んでいるとは言え、とても売り上げ減をカバーできる状況ではありません。今まで固定費を増やしてでもなんとか混雑を回避しようと投資を続けてきましたが、このことが重荷になっているようです。

この苦境の中でも、鉄道事業と関連事業の中でも伸びている分野もあります。コロナ時代と働き方改革の同時進行に鉄道会社がどのように対応してゆくのかを見てゆきましょう。

生き抜き発展する3つのヒント

  1. サービスの価格の変動制への移行
  2. コロナ対策型旅客移動方法への対応
  3. 既存資産の利活用・転用・連携

まず考えるのが、時間帯・季節・客層による変動価格性。もちろん今までも行われてきましたが、これをさらに進めて移動需要の平準化を目指すものです。
加えてコロナでも安心な移動。今までも追加料金で着席券を発売していましたが、この市場が拡大しています、これを強化・拡大しチケットレスにすると同時に廉価に売り上げ拡大を目指します。
3つ目は、長距離通勤が少なくなることへの対応。地元での消費が定着するような対策としての既存の駅ビル・周辺不動産・高架下等の活用・転用です。メインはサテライトオフィスやシェアオフィスというような自宅以外のワークスペースの提供です。それに付帯するスポーツジム・買い回り・食事環境の提供が考えられています。そのために地元企業・商店との連携も始まっています。

自社の事業に活かす

皆さんの会社の製品・サービスを見て、この3つのヒントを活かせるケースはないでしょうか。
例えば今まで定額が当たり前と思っていた価格も、見直しの時期かもしれません。小売流通の中では、すでに何曜日は○%引きというように事実上導入されていますが、サービスにも拡大される時期なのかもしれません。使い放題に代表されるサブスクリプションモデルもこの新しい価格の代表例かもしれません。

コロナ対策のサービスについては、デリバリーが一気に進みました。今までは品質の維持に課題があってデリバリーができないと思われていた分野にも、技術開発がここにきて一気に進み始めました。あつあつの天ぷらうどんもデリバリー・持ち帰りが可能になりました。

さらに、自社の遊休資産もしくは既存資産の転用も真剣に考えられています。遊休の広場があれば、青空の元のオープンレンタルオフィスもあるくらいです。今まで「あるわけがない」と思っていた市場が出てきています。

是非、みなさんご自身の事業の中で考えてみましょう。

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生き抜き発展するための考え方:

  • サービスの価格の変動制への移行
  • コロナ対策型旅客移動方法への対応
  • 既存資産の利活用・転用・連携

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(東出)

#003  2020/10/12
「納期遅れはしない。供給責任を果たす。」
~世界の製造業支えた誇り 稲葉清右衛門氏(評伝)を読んで~
2020/10/67  日本経済新聞電子版/日経速報ニュース

みなさん

ファナック株式会社(FANUC)の事実上の創業者である稲葉清右衛門名誉会長が今月2日に亡くなりました。95歳でした。トップダウンでファナックの高収益体質を築いたほか、工作機械や産業用ロボット事業を通じて製造業の自動化を促進した功績は大きいです。

 日経速報ニュース〔2020/10/06(2020/10/7更新)〕は、こんなエピソードを伝えました。(引用)
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「納期遅れはしない、供給責任を果たす」。2011年の東日本大震災の直後、混乱のさなかで稲葉清右衛門氏は言い放った。当時、すでに名誉会長。ファナックの企業カラーの黄色い制服は脱いでいたが、現役時代と変わらぬすごみがあった。問題となったのは、工作機械に載せる数値制御(NC)装置。半導体を調達できず、機械メーカーへの供給がストップしかけた。工作機械は「マザーマシン」と呼ばれ、製造業の土台を支える。供給が滞れば、自動車からスマートフォンまで世界のものづくりが止まることを意味する。危機感を募らせた稲葉氏は現場にNC装置の設計変更を指示。調達できなくなった半導体を使わずとも稼働できるようにした。
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「納期遅れはしない。供給責任を果たす。」
長年、調達業務に携わってきた者として、常日頃意識してきた言葉です。東日本大震災で供給問題を経験された方々、そして今また、新型コロナの影響で供給問題に直面されている方々、大変なご苦労をされていると思います。 私自身も東日本大震災で複数の供給問題に直面した経験があります。お客様からは、早期の供給再開を求められましたが、取引先の材料製造工場の被災規模が尋常ではなく、またインフラの復旧も目途が立たない地域に製造拠点があるなど、従来のサプライチェーンでは、どうにもならない状況でした。しかし、いろいろな関係者の協力と努力で、お客様への影響を最小限にすることができました。

記事では、「設計変更による稼働」はわずか数行で記述されていますが、私自身の経験から言えば、実際の現場では、数多くの関係者の協力、努力があったと思います。半導体サプライヤの理解と協力、設計変更に関する客先の理解と協力、そして、社内では、客先と調整する営業部隊、短期間で設計変更を完成させた研究部隊、設計変更を踏まえ、今までの装置同等に仕上げる生産技術/現場の製造部隊、今までの装置同等の製品保証を担保する品質保証部隊、半導体サプライヤや設計変更に伴う新規サプライヤとの調整を行う購買部隊、など各機能部署の努力、そして、彼らを動かすTOPのリーダーシップ。
これらが1つでも欠けると、この緊急事態に対し、速やかな対応ができなかったでしょう。
また、これらのことがその場で出来たからうまく行ったのかと言えばそうではなく、平時においても、代替設計や代替サプライヤの調査、評価が地道に行われていたのではないでしょか。

いつ何時、緊急事態が起こるかわからない不確実な環境の中、TOPを含めて企業の総合力が問われています。みなさんはいかがでしょうか?

今はまだ新型コロナ渦中ではありますが、是非、今回の経験を事業のBCP(事業継続活動)に活かしていくことを考えたいものです。

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 緊急事態における「納期遅れはしない。供給責任を果たす。」に対するキーワード

  • TOPのリーダーシップ
  • 1つの部署だけではできない。企業の総合力の必要性。
  • 平時の備え。
  • そして、大切なのは、サプライヤとの信頼関係&お客様との信頼関係。

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是非、みなさんご自身の事業の中で考えてみましょう。

 (H)

#002  2020/10/5
コストで負けないMade in Japan 織物、丸井織物
~生産管理で競う国産織物(日経ビジネスNo2060)を読んで~

丸井織物
(ロゴマークが会社HPに
リンクしています。)

みなさん

石川県の丸井織物さんが、どの様にして、中国の織物メーカーに負けないコスト構造を実現できたのでしょうか。

丸井織物は1956年に創業した能登上布という伝統手織り布や植物繊維を原料とするレーヨン生地のメーカーでした。時代の流れの中で61年に合成繊維織物に生産シフトしました。しかし70年代から90年代にかけて中国メーカーと熾烈な競争となり高機能による差別化も限界となりました。どの様にして競争力を挽回したのでしょうか。

丸井織物の競争力挽回の3つのキーワード

  • 6万点の生地サンプルと生地データによる提案力
  • 2週間で試作生地が織り上がるスピード
  • QCDD(品質・コスト・デリバリー・開発)を諦めない道の選択

工場内に「テキスタイルスタジオ」という開発拠点を持っています。ここをアパレルブランドの企画担当者が訪れ、サンプルを見ながら商品の色・質感・機能のイメージをコンピュータでシミュレーションしてイメージを固めます。そこからデータを織機につなげ2週間で試作生地が完成するというスピード。それに加えてQCDDを追い込んでコストも満足させるためのDX(デジタルトランスフォーメーション)、これが強さの源泉です。

30年間のDX、すなわちデジタルトランスフォーメーションへの取り組み

  • 織機データの一元化、不具合の数値化
  • 上流工程である原糸メーカーを巻き込んだ共同改善
  • 熟練者員の勘・コツを数値化し自動化する

これらの取り組みを30年前より取り組み、諦めずに形にしてきています。
もちろんデジタルトランスフォーメーションの言葉もない時代からです。
デジタルトランスフォーメーションという、数値化、プロセス化、見える化する技術とこれを活用したP D C Aが企業競争力を強化しています。

新しい時代のQCDD+ST

新しい時代となり、QCDDに加えてST(サステナビリティーとトレーサビリティ)がアパレルメーカーからも要求される様になりました。丸井織物はデジタルトランスフォーメーションの中で、原糸・織り・染め・縫製まで。どの工程の履歴も取れることでトレーサビリティーが確保されています。これが新しい競争力となってきました。

自社の事業に活かす

中国に工場を移転するにしても、さらに東南アジアに移転するにしても、原料生産地で加工する、消費地で生産するという考え方からすればもちろん正論です。一方、日本で最先端の世界に通用するQCDDSTを実現し、それを海外工場に移転してゆくという考え方も必要な時代です。しかもそれが実現可能があることを教えてくれていると思います。

 是非、みなさんご自身の事業の中で考えてみましょう。

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新しい時代の競争力のキーワードはQCDDST

  • 品質・コスト・デリバリー・開発・サステナビリティ・トレーサビリティー
  • これを支えるデジタルトランスフォーメーションとP D C A
  • そして、上流工程とお客様との協業

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(東出)

#001 【はじめに】 2020/9/23
フェアレディZプロトタイプに想うビジネスの在りよう

プロトタイプ 公開オンラインイベントは
こちらの写真リンクからご覧頂けます。

■はじめに

弊社メンバーと「コラム」のコーナーを起こそうという話になり、会社代表として最初に何を書こうかと考えていました。そんな中、9月16日にひとつの新製品のプロトタイプが公開されました。日産自動車のフェアレディZ。言わずとしれた日本を代表するスポーツカーです。 しかし、その姿を見て驚いたと共に、ビジネスの観点で見て、“ある種の危機感の現れ”にも受け止められました。今回はこんな巷の出来事から私たちのビジネスが大事にしていることを少しお話ししたいと思います。

 

■次期型フェアレディZは、“令和型のビジネス”そのもの

日産自動車の「フェアレディZ」の新型プロトタイプ車が話題になったのは、そもそも注目度が高い車種であることもさながらに、今回公開されたデザインが、1969年誕生の初代S30型、そして1989年発売のZ32型の特徴を1つのデザインの中に包含するスタイルとなっていたことでした。

この2モデルが開発・発売された時代を経済的側面で振り返れば、どちらも日本は好景気の中でした。S30型が出た1969年(昭和44年)は「いざなぎ景気」、そしてZ32型が出た1989年(昭和64年/平成元年)は、あの「バブル景気」でした。その為、どちらのモデルも大変良く売れた商品でもありました。みんなが力を合わせて、そして自動車先進国である欧米に肩を並べることができるようになった“誇り”を感じられた時代と振り返ることが出来ましょう。

そんな時代に買いたいと憧れた商品のモチーフが散りばめられている新デザインですが、“昔は良かった”という単なる懐古主義では商品は成立しません。最新鋭の機械としての「新しさ」も感じさせなければ新型にする意味もない訳です。

私はここで「温故知新」、古きを訪ね求め、新しきを知る、という視点が重要になってくると考えています。この点においては、どの企業も一緒であり、新しいモノだけを見てビジネス全てを固めることは困難です。その歴史に蓄積された技術や情報の資産を持っており、これを改めて上手に加工・利用できるか、更には移転・消失させた技術・情報を如何に復活・再導入するか……これらがバランスよく出来るようにならないと体力が続きません。“省人”ではない「人不足」という環境下です。もちろん、厳しい競争で生き残っていくのは難しくなっていくでしょう。私はこれを再構築したビジネススタイルが『昭和風の令和型ビジネス』となるのではと考えています。そういう観点で見ても、60年前・30年前の資産(価値)を様々に社内に残し、それをシンプルにわかりやすく活用しようと図った“次期型フェアレディZ”は、令和型ビジネスをしっかり訴求・提案していると思うのです。(売れるかどうかは別ですよ。あくまでビジネススタイルのお話です。)

 

■社是 「温故知新」

会社を興すにあたって、昨年秋の構想検討段階(実際は単なる呑み会)の頃から『温故知新』にしたいと考えていました。この会社の特徴である「ベテラン勢の知識・経験を活用、そして伝承」に相応しいコンセプトだと思っていたからです。

多くの企業で、様々な改善・改革を行なった過程で「大切にしてきた考え方やエッセンス」が忘れられ、次世代への事業継承や革新を行なう際に課題として大きく顕在化するのですが、これを解決できるのが、“人に付いてしまっている”仕事の遺産:レガシーだと考えています。私たちは、お客様の「レガシー」〔精神的・物理的遺産〕を大切にしながら、我々に付いているレガシーを付加価値として新しい事業へのチャレンジを応援してきたいと考えています。

それ故、「Our Vision~実現したい未来~」として『蓄積された知識の新しい伝承』を標榜し、『歴史がない未来なんて  ありえない。』と考え、『企業のレガシーと新技術の確かな結合』を実現させたいと考えています。

ただ、それはことわざでいうところの「温故知新」からはかなり踏み込んだ解釈な訳で、言わば 「シン・温故知新」 なのかもしれませんね。(笑)

 さて、このコラム:「ビジネス未来」では、弊社メンバーが交代で旬の話題から様々な切り口で皆さんに語りかけてもらうことにしています。あまり堅苦しい話題ばかりにならないよう、時にはエッセイのような軽い読み口のものも挟みつつ進めてまいりますので、楽しみにして頂ければ幸いです。

(鯨井)

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